私の努力をなかったことにしないで。友達を泣かせたことがある

大学生のとき、友達を泣かせたことがある。
その子に言われたことが、どうしても許せなかったから。
嫉妬、怒り、悲しみ。
色々な感情があった。
出来事だけ聞けば、そんなことで泣いた友達も、そんなことで怒った私もくだらないだろう。
でもどうしても言っておきたかった。
私の努力をなかったことにしないでって。

足が長いのが私の取り柄。長所。チャームポイント。
よく褒められる。
足が長くていいね、とか。
足細っ、とか。
でもそれは、毎日頑張ってるから。
お風呂でのマッサージとか、なるべく階段使うとか、足だけだとバランス悪いから上半身も、とか。
毎日、気をつけてた。
太るのはイヤだし、2人の姉から色々言われるから。
だから「シャチは細くていいねー」って言われるたびに、「まぁ頑張ってるからね」と返してた。実際、頑張ってたし。

自分を甘やかす免罪符に「私」を使ってほしくなかった

その日は確か4限終わりの食堂で、同じグループでタイミング合うのが4人だけで。
そのメンツも悪かったんだと思う。
フォロー役が私だけだったんだもん。
その私の地雷に、彼女は触れてしまったから。

「最近太ってきてヤバイ!どうしよー!!!」
女子学生からよく聞く言葉。
たぶん求められている返しは、こう。
「えー、全然そんなことないじゃん。ダイエットとか必要ないってー」
分かってたんだけどね。でもなんか違うかなって。その子からここ1ヶ月で、同じ言葉を何度も聞いてたから。本当に解決したいんだなって思って。
「階段使うー、から始めたらー?」って返したのが運の尽き。
怒涛の言い訳ラッシュ。最悪なことに、近くにいたのは筋トレマニアの男の子。
クドクドと筋トレマニアの話が続いていく。長くなりそうだなーっと思ったから、「まぁまぁ、できるところからでいいんじゃない?」と、まとめたところで彼女から一言。
「どうせシャチには分かんないよ!元からスタイルいいし!」
はい、地雷。

起床後、1杯の水。
毎日の体重測定と体型チェック。
エスカレーターより階段。
寝る前のストレッチ。
その他日常に組み込んだ、太らないためのもろもろの意識、動作、心得。

同じことをやってんのか??
あんたの目の前にある大盛りカレーとジュースは何なん??
彼氏がお菓子をくれるから食べちゃうーって言ってたじゃん??
そんで挙句の果てには、私には分からないだと??

自分を甘やかすのは結構。私には関係ないから好きにやってくれ。
ただ、私が何もしてないみたいに言うな。
同じことをしてから物を言え。
私と同じだけの努力をしてから言え。
じゃああんたは家で毎日のように、品定めされる気持ちが分かんのか。
太った?だの、肌汚い!だの、コンプレックスを刺激され続ける気持ちが分かんのか。
自分の甘やかしの免罪符として私を使うのは辞めろ。

まあそのとき彼女に言ったのは、私が毎日気をつけてることを教えるくらい。
気にすんならやらなきゃ変わんないよって言ったら泣いた。
求められてる言葉も、言っちゃダメな言葉も分かってたけど、どうしても我慢できなかった。

女家系なら、なおさら。綺麗であることを求められ続けるから

女は綺麗であることを、生まれた瞬間から求められる。
綺麗であり続けることを強要される。
女家系ならなおさらだ。
強要されてきた綺麗であることの努力。
好きでやってるところもあるけれど、その努力を「元から持ってる」だけで片付けてほしくなかった。

女は綺麗で当たり前。
綺麗になりなさい。
美しさを求め続けなさい。
そのための努力。
それに応えるための努力。
なかったことにしないで。
見ないふりをしないで。
私の努力は確かに、そこにあるんだから。

ゆずれなかったこと:綺麗になるための努力