付き合っていた3年半の間、毎日欠かさず続けていたLINEのメッセージ。それが突然途絶え途絶えになった時のこと。
私は彼からのメッセージを待ち続けた。LINEの通知を待ち続けた。
午前3時、「ごめんね」とだけのメッセージを見ては、どうしようもない感情に包まれながら、目を閉じた。
付き合い始めて3年。私たちに別れが来るなんて考えていなかった
遠距離だった彼と私。月に1度会う時間をつくっていた私たちはコロナ禍を境に、会う予定を決めても延期を繰り返し、いつしか半年に1度会うか、会えないかの関係になっていった。徐々にLINEのやり取りもなんとなく、社交辞令のような、義務のような形になっていった。
コロナ禍となった日常にも慣れてきた2020年の秋、「もう別れた方がいいんじゃないかな」と、彼からのメッセージだった。その時、付き合いはじめて約3年、私たちの間に別れがくるなんて考えたことは一度もなかった。
今思うと、まったくもって根拠のない自信だったが、彼はずっと私のことを好きでいてくれると思っていた。だけど、コロナ禍で彼氏を大事にできていなかったことは確かだった。
私は地方で、彼氏は東京に住んでいた。感染に敏感な地方に住む私にとっては、東京に住む彼と会うことは、周囲への罪悪感もあった。それもあって、半年間、彼に会えずじまいだった。
だが、会えない時間に、頻繁に電話等でコミュニケーションをとろうとしていたか、といえば、そうではなかった。彼の気持ちが離れていくのは当然だった。
私を愛してくれた彼を私が追いかけ、必死で愛さなければ
別れるなんて、冗談でしょう?そう思って、彼を説得しなければと思った。その1週間は、泣いて、わめいて、必死に夜中まで話し合いを続ける毎日だった。そうして、なんとか彼の気持ちをつなぎとめた。
今考えれば、もう心は決まっていた彼を縛ってしまっていたし、将来のパートナーをみつけたい私にとっても、自分で自分の首を絞めていたのだなあと思う。そうして、私のことを、愛してくれていた彼氏を、今度は追いかける形で、彼を必死で愛さなければ、と思った。
それからはできる限り、遠距離ながらも彼氏と会う時間を増やし、電話でお互いの声を聞く時間を増やした。けれど、彼の反応は徐々に素っ気なくなっていった。
別れ話がでてから約半年、なんとか徐々に関係が前向きなものになっていったような感じがした。だけど、彼氏の気持ちはそうじゃなかった。突然、その時は訪れた。
最後に会ってから約2週間が経ったころ。いつも通りのLINEをしても、全く返事がこない。おはようのLINEを送ってから、夕方になっても、夜になっても返事がこなかった。
午前1時を過ぎる頃、LINEの通知がきた。いろいろ将来のことを考えてしまっている、とのメッセージだけが返ってきた。ネガティブな気持ちになってしまっている相手に対し、頑張ってとか、大丈夫、とかあまり心配し過ぎることがプレッシャーになってしまうのではと思い、いつも通り、当たり障りのない返事を送った。
私は夜中も、LINEの通知を待ち続けた。午前3時、「ごめんね」とだけメッセージがきた。私は何も返事をせず、もう戻れない、虚無感に包まれながら目を閉じた。
別れてから見返した写真には、表情をくもらせた彼がいた
そこから、2、3日経たずして、私たちはお別れした。彼は私にとってははじめて大切に想えた人であり、はじめての失恋だった。
仕事をしていると、気が紛れて、失恋の悲しさは忘れられた。けれど、家に帰り、ふとした瞬間に、「なんでこうなっちゃったのだろう」と自分を責めては、涙がとまらなかった。
見なければいいのに、彼氏と撮った写真を見ながら、何度も寝る前に泣いた。泣くとすっきりして、疲れて、眠れた。最後の方に撮った写真をみると、彼の表情が少し曇っていたことは、後になってから気づき、こういうことだったのか、と、答え合わせをさせられたような気持ちになった。
今でも思い出す。私の隣で気持ちよさそうに寝ている彼の寝顔を。彼の腕に包まれると、安心して眠りについたあの頃も。ふと夜になると思いだす。
けれど、今私を愛してくれる彼がいる。
「大好きだよ、おやすみ」のLINEメッセ―ジを見て、その気持ちを上書きするように、今日も、私は眠りにつく。