LINEしてみた。お風呂に30分入って考えた末に送った。そのあとさらに30分は通知音を切ったスマホを見られなかった。
1時間後、既読無視されている覚悟を決めてから画面を見た。ロック画面にうれしい通知が来ていた。
読み返す、読み返す、読み返す。ついにやにやしてしまう。
落ち着け私。深呼吸。そして、Instagramを開いた。
恋の駆け引きがへたくそ。今回は追いLINEしないと決めていた
相手はバイト先の人である。大学生1年目の私と社会人1年目のあの人。
休憩の時にいろいろ話して、楽しかった。もっと話してみたいなと思った。LINEの内容も休憩の時に出た話題だった。
これが恋なのかはよくわからないけれど、もっと話してみたいなら話しかけてみればいいじゃないか。「あなたは大胆な一方ですごくビビりみたいね」と私の手相を見た吉祥寺の占い師さんも言っていた。
ノリで判断して、後で軽く後悔するんだよなあ、と今は思う。
私の駆け引きは、へたくそだ。恋愛に発展しなかった恋愛もどきは、いつもLINEで失敗している。
いつも相手からの既読無視で終わる。見返したくもない。反省を生かし、今回は追いLINEはしないと決めていた。
1回きりのチャレンジである。とあるサイトにも追いLINEは絶対にダメだと書いてあった。
1時間経って、深呼吸してから返信する。紙飛行機マークを押す指が震えた。
送信。よし今日は寝よう。なかなか寝付けなかった。
気になる返信を待ちつつも、期待するなと自分に言い聞かせる
見た夢は覚えていない。アラームを止めるためにスマホを手に取った瞬間、目が覚めた。
返事が来ていた。返事は来ないと言い聞かせて眠りについた分、ひどく心がじんわりとした。
今日は別のバイト。あわただしく出勤し、激務の隙間で返事を送る。仕事が終わって返事が来ていたらいいなと期待してしまう。
ダメ。期待するな。そう自分に言い聞かせる。
8時間超えバイトを終えても返事は来ていなかった。このまま寝よう。ご飯を食べ、お風呂に入り、歯を磨く。
布団で日記を書くのは習慣になってきたけれど、万が一読まれて恥ずかしいことは書かない。書き終えてアラームを設定するためにスマホを手に取ったまさにその瞬間、あの人から返事が来た。
やめてほしい。心臓に悪い。目が覚めてしまった。今日中に返事しておこうかな、と思う。
見るつもりもなかった資格の本をめくりながら時がたつのを待つ。30分経った。
通知を見た時の緊張がほどけてきて、半分眠った頭で返信する。そしてそのまま、予定より遅く眠りにつく。
既読がつき、会話終了。わかってはいたけど今日は布団の中で大反省
朝起きても、LINEの通知は公式アカウントからだけだった。返事が来るならまた今日の夜かな。何回か返事が返ってきたことで少し調子にのっている自分がいた。この期待がよくないのは分かっているのに。
そして夜。丸一日返事が来ない。もう会話は終わったんだと言い聞かせつつ、その一方でこれから来るんじゃないかという希望も捨てきれない。トークルームを長押しする。わずかな振動がしてトークルームが開き、メッセージの履歴が表示される。
案の定、私のメッセージに既読がついて終わっていた。わかってはいた。わかってはいたけれど落ち込む。
何かやらかしたかな。しつこかったかな。面倒だと思われていたんだろうな。まあでも既読無視でそんなに落ち込むことではないんじゃない?
そうかなあ、そうはいっても次会うときはどんなテンションで話せばいいんだろうか。アップテンポな曲を聴いて沈んだ自分にむりやり元気を出す。見るたびに心が痛くなるのでもうトーク履歴は見ない。今日は布団の中で大反省である。
追われる大人の女性は、常に余裕があるものらしい。私はそんな女性にはなれないだろうということだけは分かった。