なんだか一睡もできなくて、気がついたら朝が来ていた。私にはそんなことが今までに3回はある。

1度目は高校2年の頃で寝ようと思ってお布団に入っても全く寝付けず、何度も時計を見ながら目をつぶり、気が付いたら朝の5時になっていたあの日。
2度目は大学2年の頃で、食べることも寝ることも嫌になって、徹夜で大学の先輩の課題の手伝いをしていて、気がついたら朝日が登っていたあの日。
3度目は社会人3年目の頃で、1度目と同じで布団に入っても寝付けなくて朝になっていたあの日。

眠れない夜を過ごす前は、小説やドラマだけの話だと思っていたけれど、初めて眠れなかった時は、実際に経験をして本当にこんなにも眠れないのかと驚いた。
徹夜明けの次の日の記憶はいつも曖昧で、どうしていたのか記憶がない。けれど、眠れなかったあの夜のことは、とても覚えている。
今よりもずっと若くて幼かった、あの頃を。

思いがけない人からの好意を知って眠れない夜。人生初のとまどい

初めて眠れなかったあの日、私はとても動揺していた。
友達だと思っていた相手から、好意を寄せられていることを知って。そして、どうすればいいのか悩んでしまって。
バカみたいに相手の気持ちに気づかず、その男の子とのメールのやり取りで突然、2人で映画に行こうと誘われた。何かの冗談かと思った。女友達に相談すると、周りにはバレバレだったからと言われて、その子からの好意に気づかなかった自分が恥ずかしく、情けなく、そして困った。

どうすればいいのだろう?2人で映画に行くべき?いや、でも、付き合うとかまるで自分には縁のない話で、想像もできない。
断ったら気まずくなるのだろうか?それは嫌だなぁ、どうすればいいのだろう?
それまでの自分の人生で対処したことのない事案にとまどい、いつからそういうふうに思われていたのかとか、なんでとか、何も考えないようにしようとしてもすぐに脳が活性化して、考え出してしまった。

結局、夜通し考えても結論は出なくて、ただ2人でではなく何人かで映画に行くことにした。あの男の子と付き合うことはなかったけれど。あの子のおかげで誰かから向けられる好意を感じられるようにはなった。

好きな人の言葉で眠れない夜。悩みに単純作業は有効だと知った

次の眠れなかったあの日、私はとても悩んでいた。
ある男の子が好きだったけれど、その子に心無いことを言われて深く傷ついて。
その子にとって私はただの友達で、それ以上の気持ちがなくて、私が誰かと付き合うことは全く気にしていないような感じだった。それがとても悲しくて、私はそれまで好きだと言おうと思っていたのに、とても言えないと考えたり、どうして好きになってしまったんだろうと考えたり、考えがとめどもなく溢れてきてどんどんネガティヴなことを考えてしまった。

ネガティヴの渦に巻き込まれると食欲も睡眠欲もどこかに行ってしまって、何もかもがどうでもよくなってしまった。
その時偶然、ある先輩から課題を手伝ってほしいと声をかけられて、眠りたくなかった私は、その先輩の手伝いを申し出た。

単純作業を夜通ししていたら、気がつくと私はネガティヴの渦から抜け出ていた。そして朝日を見た時に悩むのをやめようと思えた。彼にどう思われていたとしても、私の気持ちは伝えようと、知ってもらおうと思えた。
あの夜のおかげで、私は悩んで悩んでしょうがない時は頭をクリアにするために単純作業をするようになった。

将来について悩んで眠れない夜。将来への不安が少し減った

次の眠れなかったあの夜、私はこれからについてとても悩んでいた。
今働いている会社を辞めて、その後をどうするか。当時の私は身も心もボロボロで、辞めてもすぐに働く元気は残っていなかった。先のことを考えることもできず、でも考えなければいけなくて、いつまでボロボロなのかもいつになったら元の自分になるのかもわからず、自分の存在意義すら疑いだし、ひとりで誰にも相談できず、怖かった。

あの夜は何作品か映画を見たのだけど、どれも私の悩みの糸口になるものはなかった。ただとても泣けてきた。
あの夜に悩んで決めた通りに今、人生は進んでいない。けれど、あの夜を過ごしたおかげで、将来への不安が少しだけ減った気がする。どんなことがあっても、いつかは少しでもいい方向に進むのだと気付けた。

眠れなかった理由はどれも違うけれど、今思い返すとあの頃は若かったなぁなんて思うくらい体力が余っていたのだと思う。今の私は眠くて起きていられないから。
次に眠れない夜が来たら、無理やり寝ようとせず、自分ととことん向き合う大切な日にしようと思っている。あの夜があったから、今の自分がいる気がするから。
あの眠れない日に見た朝日は、明るくて眩しくてとても輝いていて、また見たいと少しだけ思ってしまった。