「自分を好きになるためには、自信を持つには、どうしたらいいですか?」
今まで何度も聞かれた質問のひとつだ。その質問をされるたびに私は思う。
「私って自信があるように見えているんだ」と。

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SNSの力とは怖いもので、少しでもフォロワーの数が多いと、ただそれだけで、生活や、友人関係、恋愛観、そのような何もかもが美化されてしまう。他人の何もかもを美化することによって、自分の何もかもがみすぼらしく見えてくる。このような憧れから始まる負のループが、人々の自信を無くしてしまっているように思う。
SNSとは便利な反面、自信を吸い取る掃除機のような物なのかもしれない。
しかし、吸い取ったのはあくまで他人と自分を比べた自分自身であり、その吸い取った自信を自分が捨てなければ取り戻す事ができるという事だ。

勿論、私にもコンプレックスはある。私自身とても、自信が無い人間だった。"だった"と言えるようになるまでに随分時間は掛かってしまったが、それだけ自信を持つという事が難しい時代になっているのだと思う。SNSを開けば可愛いくてスタイルも良くて良い生活をしているように見える人が沢山いるのだから。
全ては表向きでしかないけれど、私達はその表向きに惑わされてしまう。本来ならば他人の生活と自分の生活なんて比べる必要なんて無かったはずだ。ましてや他人の生活を知る由もなかった。SNSの発達と共に、自分と他人の線引きが難しくなってきているように思う。

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私が中学生の頃、見た目で悪口を言われた事があった。それは今でも私の中でコンプレックスとして残っている。
私は人よりもエラの張っている骨格をしていたので、「顔面が将棋の駒みたい」と言われていた。今思えば酷すぎる内容を言われていて笑ってしまう。だけれどその頃の私はいわゆる思春期というもので、深く傷ついていた。

いや、今でもその傷が癒えているとは言えない。そこから私はずっと自分の輪郭に自信がない。でも、だからといって自分全体の自信が無いわけではない。
正直、自分の体型もあまり好きでは無かった。だけれどある日、思い立ってタトゥーを入れに行ってみた。そしたらなんだか、自分の体を好きになれた。
"可愛い"という感情の方が強かったかもしれない。自分にしか無いものが初めて目に見えるカタチとしてできたのが、その瞬間だったのだと思う。

自分にしか無いものを見つけるのは楽しい。そしてどんなに小さなものだったとしても自信に繋がる。
誰もが自分にしか無い、何か特別なものを持っているのだから、絶対に見つかる答えを探している感じが、数学の方程式を解くのと少し似ている。とはいっても数学は大の苦手だった。でもあの解けた瞬間の嬉しさはたまらない。そう、そんな感じ。

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私は未だに自分の顔の骨格を好きになる事はできていない。
だけれどね、眉毛のカタチは好き。自分の体に入っているタトゥーは好き。自分のファッションが好き。

私にはワンポイントで自分の好きな所がある。ワンポイントでいい。自分の中で自分が好きな"自分のワンポイント"を探してみる。そのワンポイントはだんだん増えていったりする。
ワンポイントがたくさん集まれば、コンプレックスなんてどうでも良くしてくれる力をもってる。少しだけの力かもしれないけれど、その力に私は救われた。
全てを好きになるなんて難しすぎる事だと思う。だから私はワンポイントセルフラブを続けていく。SNSという掃除機、いや自分自身が吸い取ってしまった自信を取り戻していくために。

全てを無理矢理愛する必要なんてないと思う。
愛せる所をとことん愛せるだけ愛してあげる。それがもうセルフラブなのだと思う。
たったひとつでもいい。
私も私なりにセルフラブをしてみるよ。
だからあなたもあなたなりにあなたを抱きしめてあげてほしい。