できるかできないかじゃない。やるかやらないかだ。

この一節は、私が幼い時に読んだ児童書にあった言葉である。
主人公の恩師である人が、いつも彼女たちに言っていた。
その言葉で、彼女たちはどうしようもないと思っていた壁を幾度と乗り越えてこられた。

私も同じように、この言葉にいつも背中を押されている。
今も押されて、このエッセイを書いている。
だから私も、この言葉がとっても大好き。

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一番この言葉に勇気をもらったな、と思ったのは留学を目指した時だった。
私は大変英語が苦手だ。今でも自分は英語が苦手だと思っている。だけど、ある時留学がしたいと思った。
きっかけはよくあるもので、海外の本を読んだからだった。もちろんそれは翻訳されたものだったし、その本の主人公は高校生だったけど、大学生の私はひどく海外での学校生活に憧れた。広い敷地に寮生活。なんて素敵なんだ、と。

しかし留学はもちろんとてもお金がかかる。対して、私はバイトをあまりしていない実家に住んでいる甘ちゃん大学生。それにもかかわらず、特にバイトを増やそうとは思わなかった私は、安く行ける留学方法を調べた。
そこで見つけたのが交換留学だった。交換留学だと授業料がかからないし、単位ももらえる。これはいいものを見つけた、と思ってとりあえず留学担当の事務員さんに話を聞きにいった。しかし、おいしい話にはなんとやら。TOEICが650点も必要だと言われてしまった。

当時の私のスコアは400点くらい。全然足りない、それが現状だった。
諦めて海外旅行にでも行こうかな。そう思った時だった。
「できるかできないかじゃない。やるかやらないかだ」
この言葉を思いだした。それで私はとりあえずやってみようと思ったのだった。

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さて、今まで英語が苦手で逃げてきた私がTOEIC650点を目指すことにしたのはいいけど、何からしたらいいのかさっぱりわからない。そこで、厳しいと有名な体格の良いイギリス人の先生に勉強の仕方を教わりにいった。

先生の部屋に行くのにとても緊張した。先生は案外優しくて、丁寧に教えてくれた。あまり怖くもなかった。行動してよかったと思った。
そして私は先生から教わった勉強方法と、YouTubeで勉強方法を発信している方々の動画を参考に、自分なりの勉強計画を立てていった。道筋ができているので、後はひたすら走るのみ。その後大体2ヶ月ほどで600点を達成した。

でも、まだ足りない。そこで再びあの先生の元へ行った。そこで今やっている勉強内容や週にどのくらいしているのかを聞かれたので、正直に答えた。
私はてっきり効果的な方法を教えてくれると思っていたが、先生はこのまま続けなさいと言った。腑に落ちなかったが、素直に従った。

そしてまた2ヶ月後に受験した。全く歯応えがなく、少し落ち込んだ。結果が出るまでの1ヶ月ほどの時間をソワソワし続けた。
結果が出た日、私は朝一で事務所に行って結果を受け取った。もう怖すぎて、1の位から見ていった。結果は、なんと660点!

これで留学に行ける!そう思っていた時、幸いにもあのお世話になった先生が廊下を歩いていたのを見つけたので、走って先生を捕まえて結果を報告した。
興奮気味な私に、先生はニコリともせずに「このまま続けなさい」とだけ言った。
少し興奮が冷めた。そうだ、どうせならもっと高スコアを狙ってみよう。そう思った。

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「できるかできないかじゃない。やるかやらないかだ」
現在私は留学の準備をしながら、英語の勉強を続けている。そして今でも思っている。行動してよかったと。
それまでの自分は絶対にできないと思っていたし、やろうとも考えていなかった。そんな私がやってみよう!と思えたのも「できるかできないかじゃない。やるかやらないかだ」という言葉があったからだ。

人生は一度きり。もし何かに挑戦するか迷っている人がいたら、この言葉を思い出してほしい。
「できるかできないかじゃない。やるかやらないかだ」
私もこの言葉から勇気をもらった。だから次はこれを読んでくれているあなたが、何かに挑戦したり、変わるきっかけになることを祈っている。