19才。大学2年生。恋愛経験なし。
告ったことも告られたことも、人を好きになったこともない。その未来も見えない。将来結婚できるのか不安になる。

人見知りだった学生時代。異性とまともに会話をした記憶がない。それでも、大学生になれば彼氏が出来るのだという神話を信じていた。

コロナ禍ということもあり、大学生も色々な活動が制限されている。そのため、出会える人々が圧倒的に少なく、必然的に彼氏が出来にくい状況なのだと楽観視していた。
だが、そうではなかったらしい。このような状況でも、恋人が出来る人はどこへ行っても出来るのだ。

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最近、友人から立て続けに恋人が出来た報告を受けた。その瞬間は興味津々で、根掘り葉掘り聞くけど、家に帰ってきてむなしさがこみ上げる。
インスタには、彼氏彼女との匂わせストーリー。思わず次へスクロール。あれ、私にはいつ彼氏ができるのだろうか……。

興味からなのか、義理からなのか、報告の後、彼氏は出来た?と逆質問。浮いた話がなさ過ぎて申し訳ない。冗談半分で、社会人2年目でマッチングアプリを始めて、初彼氏をつくるのだと返す。
しかし、言霊になりそうで怖い。その未来が手に取るように見える。

その一方で、類は友を呼ぶのか、年齢=彼氏いない歴の友人も多くいる。彼女らとは、彼氏欲しいねと傷を慰め合う。しかし、みんなその輪から抜けたがっている。
彼氏が出来たら教えてね。そんな口約束を未だに果たせずに、その輪の中に居続ける。人を好きになれないのではないか、思わず疑った日もあった。

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でも、分かっている。私は“白馬の王子様”が空から降ってくるのを待っているだけ。
自分から何かアクションを起こしたり、積極的にアピールしたりしていないから、彼氏なんて出来るはずがないのだ。私は奥手を通り越して、岩石のようにびくとも動かないし、自分で磨いてすらいないのだ。
分かっている……けど……。

そもそも、彼氏というステータスに憧れているだけなのかも知れない。ドラマや小説で作り上げられたカップル像を崇拝し、だめな自分を受け入れ、励ましてくれる、心のよりどころを探しているだけなのかも知れない。

人を好きになるより、好かれたい。その方が傷つかないから。
でも、好きという感情に触れれば、手に入れようと夢中であがくのだろうか。

彼氏って欲しい欲しいと言っている時には出来ないものだよ、と恋愛上手のインフルエンサーは笑う。でも、恋愛経験がないまま、好きという感情が分からないまま社会に出るのが怖い。不安だ。
かわいい訳でも、スタイルが良い訳でもない、平凡な私は何から、どうすれば良いのだろうか。

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……気がついた。恋愛って肩肘をはるものではなく、直感や衝動に従うものではないのか、と。こんな様に堅く考えているから、恋愛ができないのではないか?
“好き”も人それぞれ異なっているのだから、その正解つまり万人共通の“好きの核”に触れようといくら手を伸ばしても、空を切るだけだろう。理詰めで考えても、直感や衝動の前には人は無力だ。

ただ、この不確実な時代で、ますます人が恋しく、恋人を求めている私がいる。焦り、憧れ、興味……恋人への感情はさまざまあるが、まずは気張らずに、人との出会いを大切にすることが必要だろう。
大学生活は残り2年半。直感や衝動に備えて、日々アンテナを張っておこう。

彼氏できたんだ。そう胸を張って言える日が来ると信じて。