4年と半年と少し。
長かったこの関係が終わって、私は、やっと次に進める、とほっとした。

◎          ◎

出会いは高校3年。初めて同じクラスになった。
私の友達にふられた男の子。第一印象はそれだけ。
恋に発展するなんて思ってもみなかった。そんな相手じゃなかった。

私の20歳の誕生日。
彼と関係を持った。私にとって彼が初めての相手になった。
だけど友達のままでいられると思ってた。
タイプじゃなかったし、恋愛対象として見たこともなかったから。
「変わらないよね、私たち」
呑気にそう言ってた私を殴ってやりたい。
彼はあの時なんて返してきたんだっけ。

ハマったのは私の方だった。
遊んだ時にたまに、だったのが、むしろ体を重ねるために会うようになっていった。
自分にとって良くないことだとわかってた。
でも連絡するのを止められなかった。
それはまるでダイエット中のチョコレートのように。
夏の暑い日の炭酸ジュースのように。
ただ彼を求めていった。
でも彼は何も言わなかったし、拒まなかった。
こんなのどこが「友達」なんだ。

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勝手にハマって勝手に苦しんだ私は、彼に告白してふられて終わらせようとした。
いいかげん、終わらせたかった。次に進みたかった。
「あなたが私をふったとしても、友達の関係は変わらないよ。だから大丈夫。ふっても平気だよ」

自分自身が一番大事な彼。この長い付き合いでそれは嫌というほどわかってた。
被害者意識が強くて好き嫌いが激しい、自分を守るのに必死な男。
だからふっても大丈夫なことを必死でアピールした。
むしろふってほしい。終わらせてほしい。「ごめん」その言葉だけを期待してた。
でも彼は告白を受け入れた。
そして私たちは4年の歪な期間を経て、「お付き合い」を始めることになった。

付き合うといっても遠距離だったので、会うのは何ヶ月かに1度。
クリスマスを少し過ぎた頃に会った。
ただ私が渡したかっただけだからネクタイを用意していた。
そしたら彼もプレゼントを用意してくれていた。
ブランド物の香水。
いい女の匂いがするー!なんて言ってはしゃいだ。彼は満足そうに笑ってた。
ままごとだ、こんなの。ただの恋人ごっこだ。
心はただただ冷えていた。

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それから2ヶ月後。その間の連絡はほとんど無し。
もう自分でも何がしたかったのかわからなかった。
だから会った時に聞いた。
「この関係はどう?」
彼から返ってきたのはこんな答え。よく覚えている。
「シャチは結婚願望ないでしょ?でも俺は結婚したい。だからシャチは俺の足枷になるんだよね」

ここで私はやっと目が覚めた。
あぁ、やっぱりこの人は自分のことしか見えてないんだ。
告白されたから付き合ってやった、でもそれで俺は苦しんでるんだ、とでも思ってるんだ。
そして自分はなんて優しい男なんだ、とでも思ってるんだ。
あなたが思う優しさとやらは私にとって猛毒だったけど。

これで彼との関係は終わった。
4年と半年と少し。長かった。
彼からは毎年律儀に「誕生日おめでとう」とラインが来ている。
もうすぐ夏。彼と別れてから初めての私の誕生日が近づいている。
ラインの連絡先は削除した。ブロックじゃなくて削除。
今年も彼からのラインは来るのだろうか。
私は今、自分の誕生日を怯えながら待っている。