街コンで出会った彼。煙草を吸いに行く姿にモヤっとする
カップルの成立やその後の長続きは、双方が感じる違和感が許容範囲であるかによる。
初めて街コンに参加した際、初対面から気に入ってくれて、その後も頻繁にLINEをくれた男性がいた。歳上の方だった。
初デートは、大型ショッピングセンターで待ち合わせた。買い物をしてご飯を食べ、カラオケをして解散という流れだった。
ランチのお店は、一部がテラス席になっており、灰皿もテラスにあった。ランチは店内で食べた。しばらくして彼は「煙草、吸ってきて良いかな」と言い、私からの了承を得ると、喫煙スペースへ向かった。
彼がヘビースモーカーなのは、それまでの話の中で知っていた。だが、あと数時間、我慢出来ないのか。煙草のために、一人この場に取り残される女性の気持ちを考えたことはあるのか。
喫煙スペースは、ガラス張りの壁を挟んで、私の正面に設置されていた。そのため、店内で待つ私と、テラスにいる彼は必然的に目が合う形となった。
彼は私の視線に気付くと恥ずかしそうに笑い、私も笑みを返した。互いにその時間は気まずくて、完全なリラックスは出来ず、愛想笑いに近いものだった。
煙草タイムから帰ってきた後は「お待たせ」や「ごめん」の言葉もなく、私から「おかえりなさい」と言い、世間話が再開された。私は非喫煙者であり、喫煙後に喫煙者に染み付く煙草の匂いが苦手である。謝罪の一言があっても良かったのではないか。
次に、カラオケ店に向かった。
互いに車で来ていたため、アルコールは飲めない。彼はノンアルコールのビールを頼んだ。瓶ビールが運ばれてきたので、注いであげたら喜んでいた。心の中では、ノンアルコールビールを昼間の初デートで男性が頼むことに困惑していた。
解散後も、幾度か連絡を取り合っていた。彼には気に入られていた。私は初デートではあまり良い印象は残らなかったが、今後何度か会って他の一面を知る努力をしようと考えていた。
その矢先、自然災害が発生した。私の住む地域はあまり被害が出なかったが、彼の住む地域は浸水の被害があり、県内ニュースで連日報道される程の悲惨さだった。気になって、私は彼に「お家やあなたは大丈夫ですか」と連絡した。
彼の気持ちや行動を理解しようと試みたけれど、難しかった
初デートの時、彼から元カノとの破局理由を聞いていた。彼はご両親の建てた家を守ることを第一に生きてきた。彼女との結婚を先延ばしにしてまでも、家を最優先していた。彼女は年齢的な部分も含めて、我慢の限界に達してお別れしたようだ。家の被害状況によっては、彼は生きる気力すら保てなくなっていると予想した。
「一階が浸水しました」と返信が来て、家も彼も相当なダメージを受けているのだと知った。次に届いたLINEには「今はショックが大きくて、ただぼうぜんとしています。一人で考える時間を下さい。落ち着いたら、こちらから連絡します」との旨が書いてあった。
「分かりました。無理はしないで下さいね。またいつでもお待ちしています」と返信し、彼とのやり取りを終えた。
彼の家族や家を守る、使命感のような気持ちを理解しようとしたが、難しかった。そして、私達がまだ浅い仲だったこともあり、彼とは縁がなかった、と思い込むことにした。
連絡先も削除した。あれから彼は立ち直ったのか、私に連絡しようと思い立つ日が来たのかは分かりかねるが、前を向いていてほしい。
彼は何よりも「家族と家」を優先し、私は「煙草やアルコール類のTPOのわきまえと、彼が家と恋愛を天秤にかける価値観」に違和感を覚え、後に距離を取る判断をした。
数年が経過し、今後誰かと恋愛を始める場合、多少の譲歩する努力も必要だと感じている。喧嘩や破局も、互いへの配慮があったら防ぐことが出来るかもしれない。共に未来を歩むために、互いに尊重し合うカップルが理想だ。