なんだろう。先輩のそういうところ、前から知っていたはずなのに、イライラするようになった。

職場の机の引き出しの中に、飲み終わったペットボトルをどんどん入れるところ、いつも同じタオルで汗をふくところ、会議中に貧乏揺すりをするところ。

私は先輩をふった。彼は涙を流しながら私を「責めた」

「また遊びにいこうよ」と彼から誘われたとき、全く気乗りしなくて「あぁ、私、彼のこと好きじゃないんだな」と思った。だから「ごめん。遊びにいけないし、あなたとはもう付き合えない」とはっきり言った。すると、彼は「どうして?俺といるとき、あんなに楽しそうにしてたじゃん」と涙を流しながら私を責めた。

私の恋愛ボルテージが、どんどん下がっていく。夜とはいえ、外で泣かないでくれよ。職場、ここから近いんですけど。あまりにも冷めてしまい、先輩に何を言ったか覚えていない。ただ、先輩があまりにも泣いてしまったので、2時間くらい職場の近くの公園にいたことは覚えている。

そして帰り際に、先輩に「全然興味ない芸能人の話にも、付き合ってあげてたのに」と吐き捨てるように言われたことも覚えている。これが2年前の話だ。正直、嫌な思い出である。

2年後、違う男性と恋をした。でも「もう冷めちゃった」とふられた

職場恋愛はもうしたくないと思っていたのに、私は2年後、転勤先の職場で恋に落ちた。アメリカ育ちのイケメンの同僚に告白されて、3か月迷った末にOKをしたら「もう冷めちゃった」とふられた。

なんで? あんなに好きだって言ってくれたじゃん。何がいけなかった? 3か月の間「デートしよう、お試しでいいから遊んでよ」と 言われ、何度か彼と遊んだ。そのとき、外食先で何食べるか決めるのに、時間かかったから? 一緒に遊園地に遊びにいったときに「ジェットコースター乗ろう」って何度も誘ってくれたけど、すごい勢いで嫌がって、結局乗らなかったから? 別の日に遊んだとき、お腹痛くなって、トイレの前でずいぶん待たせちゃったから? 私が英語苦手だから? と、矢継ぎ早に聞きそうになった。でも、私はこらえた。

私が何を言っても、もう彼とはだめなんだ。2年前に、私が先輩をふったように。ここで泣いてすがっても、目の前にいる彼は2年前の私と同じで、どんどん冷めていくだけだ。

「残念だなぁ、一緒にいて楽しかったのにな~」と無理やり笑顔を作って、彼に言った。すると「俺も今まで楽しかったよ。ありがとう」と笑顔で言われた。じゃあなんで? なんでふるの? 喉まで出かかった言葉を押し殺し「じゃあね」と言った。

泣いてすがって「面倒だな」と思われて、嫌な思い出にされるくらいなら、楽しい思い出のままで終わらせたい。これでいいのだ。そうして、私と彼との恋は終わった。

人を好きになることや、恋が冷めるとき「明確な理由」はないのかも

心に穴が開いた状態で、ぼーっとしながら、過去の恋愛を振り返る。2年前、もし先輩が飲み終わったペットボトルを机の引き出しの中に入れるのをやめても、毎日違うタオルで汗をふいても「衛生的に良くなったな」と思うだけで、また好きになるとは思えない。

人を好きになることに、理由なんてない。気づいたら好きになっている。だから、恋が冷めるときも、明確な理由はないのではないか…と私は思う。

ふられると、急に自信がなくなる。自分がいけなかったんだ…と責めたくなる。けれども、ふられたからといって、自信をなくす必要はない。運命の人に出会えば、お互い欠点を見せ合っても、冷めたりしない。むしろ言い合って、自分たちを成長させることができる…と信じている。おそらく、きっと。

あえて、先輩をふった理由と彼にふられた理由をいうなら、運命の人じゃなかったから。ただ、それだけのことだ。

全国の失恋した同志よ、次にする恋は運命だと信じて、この辛さを共に耐えよう。