私は、右手の薬指に指輪をしている。
結婚はしていない。
婚約もしていない。
未婚だけれど、あえて薬指に指輪をする理由は2つ。
付き合っている人がいるときは、彼氏と一緒にいない時のお守り代わりに。
誰とも付き合っていないときは、軽々しく声をかけてくる男性から身を守るために。

好きな人にだけモテたらそれでいい。万人受けしなくていい

大人になると、異性との出会いの場面も多様化して、色んな場面で、好意を持って私と接してくれる男性がいる。
「付き合っている人はいるの?」という男性からの質問に対しては、「さぁどうでしょう〜」と答えることにしている。

付き合っている人がいても、それを心も打ち解けていない異性に伝えようとは思わないし、付き合っている人がいなくても、「恋人がいない=フリー=彼氏募集中」と誤解されたくないから。
「付き合っている人はいる?」という質問に、「いないよ」と答えたら、「つまり、彼氏募集中かぁ。俺もチャンスあるなぁ」と思われることが嫌だから。
好きな人にだけモテたらいいから。

「誰かと付き合いたい」と思わない時期だってもちろんある。
「付き合っている人がいないこと」よりも、「付き合っている人がいること」や「婚約していること」、「結婚していること」が必ずしも良いとは言い切れないのに、私たち人間はなぜか、付き合っている人がいることで、少しだけ得意気な気持ちになってしまう。

新宿駅で「愛人にならない?」と声をかけられた衝撃

特段露出が多い服を着ているわけでも、夜遅くや朝早くに新宿駅を使っているわけでもないけれど、私は、危ないお誘いを数か月から半年に1回は経験する。

大学生の頃、「愛人にならない?」と声をかけられたときの衝撃は今でも忘れられない。
たしかに私は、実年齢よりも2〜3歳年上に見えるとよく言われるし、大学生の頃から大人っぽい雰囲気を身にまとっていたから、アルコールを注文する場面でも年齢確認をされたことがなかった。
だけど、見知らぬ男性からもある意味“モテる”ことを知ってから、私は「自分が女性である」ということを痛感した。
私は「女性」として見られているのだと。

「パパ活アプリやりませんか?」
「会員制クラブでお小遣い稼ぎませんか?」
危ないお誘いは数多い。
そんなとき、右手薬指にはめた指輪をちらっと見せつけて、一言も話さずに、足早に去っていくと、見知らぬ男性たちは諦めたような顔をして、いなくなってくれる。
指輪は魔除けなのだ。私を、危険なお誘いから守ってくれる。

指輪を見ると、「好きな人に一途でいよう」と思う

今は、付き合っている人がいるから、指輪をしている。
シルバーの、おしゃれ用の指輪。汗で色が変色してしまうような、シンプルな指輪。
朝会社に行くときや、休日出かけるときに、身に着けて、夜家に帰ると外している。
彼氏と会うときは指輪をしなくても、言い寄ってくる男性や危ない男性から私を守ってくれる彼氏がいるから、指輪はお家で休憩させている。

指輪をするのは、「結婚したい」アピールでも、「彼氏がくれた指輪なの」アピールでもない。
指輪を見ると、「今私のことを好きでいてくれる人に、私も一途に好きでいよう」と思うから。
他の人を「いいなぁ」と思ったり、「あの人かっこいいなぁ」と思わず見つめてしまってもいい。
身体は奪われてもいいのかもしれない。一瞬の気の迷いや肌恋しさから、一線を越えてしまうこともあるかもしれない。それでも、心だけは奪われちゃいけない。

アクセサリーは身に着けると、想いが想起される。
だから、普段プレゼントで買ってほしいものはほとんどないけれど、好きになった人には「身に着けられるものがプレゼントにほしい」と言うことにしている。

「ハンドメイドだから世界で一つだけなんだよ」
さらっとそう言って、普段私が選ばないような、大振りの落ち着いた色のピアスをくれた彼を、今は大切にしたい。
そんな彼は、私がそのピアスを身に着けていると、とてもうれしそうだから。