「女子感皆無」は誉め言葉。短髪、黒づくめで私のスタイルが確立した

毎晩、寝る前に行うルーティンとして、次の日の服を用意する。
開けるクローゼット、収納チェストはメンズの黒い服ばかり。
色味の服は少なからずあるが、その服も青、白のものが殆どで可愛らしいものは皆無である。
おそらく、今の私が確立したのは、誰にでも経験がある“アレ”が始まりだと思う。
そう、散髪である。
ある時、髪を思い切ってバッサリ切ってみた。
後ろ姿は完全に男だった。
その際にいつも一緒に過ごしていた友達から言われた。
「格好よくなったね!」
「一緒に並んで写真撮ったら彼氏だって言えそう」
「今までの女子感皆無だね!」
女らしくないと言われれば、普通は傷つくのかもしれない。
私にとっては最大級の誉め言葉だった。
生まれ変わった気分だった。
以降、私は髪を伸ばすこともスカートを穿くこともなくなった。
買う服は黒パンツ、それに合う黒いトップス、アウター。
靴も黒。リュックも黒。眼鏡も黒。黒。黒。黒。
オールブラックコーデの完成である。
髪を切るたび、新しいメンズ服を披露するたび友達が褒めてくれた。
そのおかげで、女ではあるが“格好いい”を追求するようになったのである。
それが自分にとってパズルが完成するかのようにとてもしっくり来たのである。
とはいえど、メンズライクの服装をする女性に、全ての人が肯定的とは言えない。
ある日、服を買いにメンズ服もレディース服も置いている服屋に行った時のこと。
メンズ服を眺める私の近くにいたマダム達が、私に聞こえるようにこう言ったのである。
「女性ならレディース服のエリアを見るべきよ」
「あの子が着るのかしらね、見る売り場を間違えてるわよ」
「そうよね、なんでこっちの売り場にいるのかしら」
今となっちゃ、
「間違えてませんよ!見たくて見てるんです!」
と言い返せるメンタルに成長しているが、その時はそうではなかった。
見る売り場を間違えている、というのはどういう事か。
女性がメンズ服売り場を見てはいけないなんて決まりはないじゃないか。
悶々と考えているうちに嫌な気持ちになって、その店で買い物をすることはなくなった。
世の中にはメンズ服を好む女性もいれば、 レディース服を好む男性もいる。
女性の心を持ちながら生物的性別が男性の人もいれば、 男性の心を持ちながら生物的性別が女性の人もいる。
女性だが女性を好きになる人、男性だが男性を好きになる人もいる。
多種多様でみんな良い。
決められたルールでカテゴライズする必要はない。
私は私、それで良いじゃないか。
そう思っているのが渦中の人間だけでは意味がないと思う。
とは言いつつ、この考えは全ての人に共有されている発展途上なので、全ての人が肯定的になる日があるといいな、と願っている。
最近もこんな出来事があった。
女性トイレに入った私に、清掃のマダムがこう言ったのである。
「あなた、トイレ間違ってるわよ!」
……うん、これについては私が悪い。
胸もまな板だから、見た目は男だわな……。
育たない(これ以上育つ予定もない)胸を見て、項垂れたのは言うまでもない。
私の残念な胸のことはさておき、 結局のところ、この文章で何が言いたかったかというと、 自分のことは自分が一番分かっているのだから、自分の思うように生きよう、ということである。
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