私は高校生の時、バイト先の先輩に告白されたことがある。
でも、断った。
なんで断ったのか、つまり振ったのか書いていこうと思う。
◎ ◎
端的に言えば、「全くその気がなかった」の一言に尽きる。
高校生当時、私は部活と勉強に明け暮れて、バイトなどは職業体験くらいの感覚でやっていた。そんなに稼ぐ必要がある年齢でもない。いつ辞めたっていいし、人間関係も築く気はなかった。バイト友達なんて作らなくていい。ただちょっと社会勉強になればいいか、くらいの気持ち。だから、バイトに対する思い入れは何もなかった。
結局、学校と両立できずに、わりと短期間で辞めることにした。辞めることも店長以外には言わずにいた。
バイト先には学年が上の先輩がいて、よく私の面倒を見てくれた。
クレーマーからかばってくれたり、帰り道が真逆なのに家まで送ってくれたり、頼んでいないのにプレゼントをくれたりした。それは素直にありがたかった。
でも、私は先輩を仕事相手としてだけ頼りにしていた。プライベートで遊びたいとかいう気持ちは一切なく、ただ、「バイト先の優しい人」という認識。私が昔からあまり恋愛体質じゃないのもあるが、自分のことが好きなのかも?という疑惑さえ持たなかった。
◎ ◎
そしてバイトを辞める日、先輩から「今日辞めるんでしょ?送るから一緒に帰ろうよ」と言われた。私は誰にも言わずにこっそりいなくなる予定だったので驚いたが、最後だしいいか、と送ってもらうことにした。
そして家の近くまで着き、お世話になりましたと言いかけたとき、急に「彼氏はいるの?」と聞かれた。私は素直なので、「いません」と答えた。
すると、「じゃあ好きな人は?」「気になる人もいないの?」といろいろ聞かれたので、ちょっと面倒だなと思いつつも、「まあ、今のところは」と言った。実際は部活と勉強で手一杯で、恋愛のことなんて考えもしなかったのだ。
すると、先輩はぐっと私に近寄り、「じゃあ俺と付き合わない?」と言ってきた。今思えば、この時代に直接顔を見て告白してくれる人は貴重だなと思う。
私は、その時ドッキリか何かかと思い、「え?本気ですか?」「冗談じゃないんですか?」と何度も訊ねた。
「ううん、本気だよ」と言われ、どうしていいか分からず、「ちょっと混乱しているので、後で連絡します」と言って家に帰った。そして帰ってから色々考えた結果、電話で丁重にお断りした。
◎ ◎
やっぱり、恋愛対象として見れなかった。手をつなぐとか、キスをするとか、その先のことを先輩とするなんてことは、当時の私には全く考えられなかった。
でも実は、これは私が受けた人生初の告白で、嬉しかったのもまた事実だ。私も女としての魅力があるんだ、と自信がついた気がした。
恋愛において、振った人も、振られた人も、そのショックの度合いは人それぞれだと思う。でも、この私のケースみたいに、理由が大したことじゃないこともあることを知っておいてほしい。ただのタイミングの問題とか、鈍感だっただけとか、そういうこともあるのだ。
それと、私がこの経験から学んだのは、振られる側はもっとつらいだろうが、振る側もそれなりにつらいということだ。私はまだまだ恋愛経験が少ないけれど、これからいろんなことを経験して、人として成長していきたい。