「好きなタイプってなに」
――この質問は、友人との恋愛トークで、同僚との韓国ドラマの感想の流れで、合コンで名前すら分からない人との会話でよく聞く。それぞれが常にこの答えを用意しており、TPOに応じて適宜変化させている。

私の表向きの答えは「頭の良い人。ワイスではなくてスマートって意味で」。でも本当に譲れない裏の答えは「胸ではなくて目を見る人」だ。つまりは身体目的ではなく、心を目的にした関係を望んでいる人と出会いたいということ。

◎          ◎

うん、お高く止まってはいない。「お前の身体なんて求めていねーよ」というコメントも全て受け止める。そうですよね、でもちょっと聞いてください。
セックスが最初にくる出会いを否定しているのでも、性愛なしのプラトニックな関係を求めている訳でもない。この答えの真意は、「女性としてだけでなく、人間として関係をもちたい」だ。
そして、この意味が分かる女性は決して少なくないと思う。

私は小学校高学年の頃に初潮をむかえてから、女性を意識しなかったことはなかった。
習い事のサッカーで胸に体当たりされた時の痛み、部活中に感じた走れない程の生理痛に涙目になったこと、クラスの男子が書いた「胸のでかい人リスト」が周ってきた時の心の締め付け……。成長過程の身体の変化のみならず、周囲からの発言や視線に傷つきながら年齢を重ねてきた。そして20代になっても、思春期の男子の戯言とは誤魔化せない、社会から押し付けられる「女性」を日々感じている。

韓国で一大ブームとなった作家の著書のあとがきでも、現代で男性を信じて愛していけると思うのは狂気の沙汰に思えると書かれていた。そんな中で私のタイプは目線重視になったというわけだ。
そして最近、真っ直ぐ目を見てくれる男性と出会った。だが、出会って4日後に振られた。

◎          ◎

彼とはアプリで出会い、1週間ほど連絡を取り合った後に夕食に出かけた。
正直、アプリで実際に会うのは初めてだったため、物凄い緊張で全然酔わなかった(心のどこかで臓器を取られる可能性を捨てきれなかった)。2軒目でも盛り上がりが冷めず、その2日後にまた食事に出かけた。
いい感じに距離が縮んできた、出会って4日目に私がやらかした。彼が次週から仕事が忙しくなると言っていたので、私のお気に入りの洋菓子屋さんの焼き菓子を差し入れをしようと思って昼間に会った。

散歩をしながらベンチに腰をかけて、相変わらず楽しく話をしていたのだが、距離の近さに安心した私が彼の見た目に関することを2回いじった。今思い返しても最低だったと思う。
大人な彼は1回目は流してくれたが、2回目は落ち着きながらもはっきり気分を害したことを伝えた。
あれだけ目を見てくれる人を求めていたはずなのに、この時に限っては、私が目線を下げた。そしてそのまま気まずく別れることになった。

◎          ◎

彼は間違いなく私と女性としてだけではなく、人間として関わってくれたのに、最後に別れる原因は私の女性性ではなく人間性の欠如だったという皮肉。
どこかで勘違いしていたのかもしれない。今までの恋愛絡みで不快な思いさせられた原因は常に男性で、私に劣っている点はなかったと驕っていたのかもしれない。
猛省の出来事である。

恋愛は難しい。しかし、しないよりはした方が良いというのが持論だ。こんな振られ方をして、反省をしても、それでも前を向いていたい。
そのタイミングで本音のタイプを再考したが、「胸ではなく目を見る人」に変更はなし。やはり、女性を押し付けられることを拒否しないわけにはいかない。

今回の別れの論点はそこではなかった。だから、私自身の人間性を上げるために、自分が成長することも大切にすることにした。
ちなみに、彼にはあの後改めて謝り、今でも関係は続いている。やらかしながらも、私らしさを忘れずに、時には軌道修正しながら、人を大切にすること、大切にされることを通して愛に触れていたい。