身体的特徴は変えられないと私は思う。
ダイエットで体型を細くしたり、筋トレでガタイをよくしたりはできるかもしれない。しかし、どう頑張っても変わらない、その人だけの特徴があると私は思うのだ。小学5年生の時に起きた出来事がきっかけで、私はそのように強く考えるようになった。
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私の幼い頃の夢はバレリーナになることだった。幼い頃、世界的バレリーナの森下洋子さんのドキュメンタリー番組を見て、私もあんな風になりたいと思ったのがきっかけだった。
小学生の私は週6~7日、毎日のようにバレエの教室に通った。バレエにまつわるすべての瞬間が好きだった。だから私は、このままずっと舞台に立ちたいと思っていた。
しかし、私のその夢はかなわなかった。
バレリーナが当たり前のように履くトゥーシューズ。それを履いた瞬間、私は今までのクオリティの踊りを踊れなくなってしまった。同じクラスの人たちはみんなつま先立ちが当たり前のようにできていた。練習を休みがちの子まで例外なく……。しかし私はそれが出来なかった。
先生たちは練習あるのみと言ったが、どんなに練習を重ねても、つま先立ちは汚いままで、足に激痛が走るだけだった。靴のメーカーを変えても、整体の先生に教わったトレーニングをしても変化はなかった。そして私はみるみるうちに劣等生になっていき、かつて一緒に踊っていた仲間たちと肩を並べて踊れなくなり、バレエ団を後にした。
私はこの経験から、どんなに努力しても、そしてどんなに思いが強くても叶わないことがあること、そして自分の体には努力しても変えられない特徴があることを、猛烈な心の痛みとともに学んだ。
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夢を失った私は自暴自棄になった。今まで我慢していたお菓子を山ほど食べた。そして私の体は雪だるまのように膨らんだ。そんなどうしようもない私を救ってくれたのは、1人のチアリーダーだった。
高校見学で出会った彼女は、私にチアリーディングをやってみないかと声を掛けてくれた。
「チアはつま先立ちが出来なくても、扁平足でも大丈夫だよ」
その彼女の言葉が背中を押し、私は高校でチアリーディング部に入った。
丈夫な足腰、伸び切らないつま先、筋肉の付きやすい体質……バレエの時に嫌いだった自身の身体的特徴は、チアリーディングにおいては全て気にならない特徴や自身の強みになった。そして私はチアリーディングに没頭し、大学卒業まで7年間もチアリーディングを続けた。そして仲間たちと共に大学では日本3位入りの目標を達成した。
自分が備え持つ特徴は、環境によって強みにも弱みにもなりえる。強みになる場所を見つければ必ず輝くことができる。チアリーディングは私にそんなことを教えてくれた。
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「私はダメだ……」
昔の私のように、自分に備わっている特徴について悩みを抱えている人も多いのではないだろうか。また、職場や学校など所属する団体で他の人から自分自身の特徴に対して指摘されるが、直せず、悩んでいる人もいるのではないだろうか。直したくても直せない……努力してるのに報われない。本当に苦しい状況だろう。
そんな風に今、苦しんでいる人たちに「あなたの特徴を生かせる環境を探してみない?」と私は言いたい。
弱みに見えた特徴が気にならなくなる場所、弱みに見えた特徴が強みになる場所が社会の中、どこかに必ずあると思う。その場所を探すのは簡単なことでは決してないが、もうだめだと投げやりになったり、自分を卑下する前に、もう1回だけ挑戦してみて欲しいのだ。
高校見学で出会ったチアリーディング部の先輩の一言によって、私は救われた。思い切って環境を変えたことで、弱みを強みだと思えた。
だから私も、今悩んでいる人たちに同じことを伝えたい。
「あなたが輝ける場所は必ずあるよ」と。