自分自身の性的快感や気持ちよさを追求する「セルフプレジャー」。
男性用のTENGAが代表例である一方、女性が自らの性的快感を求めることはタブー視されてきた気がする。
女性が快感を求めるのは、恥ずかしいことだと。はしたないことだと。
だから、今まではネットでコソコソと買うのが当たり前だったのが、SNSで紹介されることも増え、今では雑誌で特集が組まれることもある。
TENGA発の女性向けアイテム「iroha」シリーズが百貨店にも期間限定ショップとして置かれたと聞いて、私は時代が変わったと思った。
そう、女だって気持ちよくなっていい。
女がリードするセックスだっていい。
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実は、つい半年前に初めてセルフプレジャーグッズを買った。
良い意味でたまには気楽に、でも頑張るときは必死に、仕事できるようになって、仕事終わりにぐったりすることが減ってきた。
夜、人肌恋しい気持ちになる体力的な余裕も出てきた。
だから、Amazonからの「あなたは18歳以上ですか」という表示に「はい」と答えた。
初めて買った口紅型のかわいいセルフプレジャーグッズは、すぐに届いた。
何かいけないものを買うような気持ちで、開封して、電池を入れて振動を感じた時、なんだかウキウキしてしまった。
今まで交際してきた人や関係を持った人とも、女の子向けグッズの話は気兼ねなくできるような、性的なテーマにオープンな関係だった。
だけれど、「自分がどんな風に自分の欲を満たしていて、自分が一人で気持ちよくなっているのか」を話すのは、男性側だった気がする。
セルフプレジャーグッズを「使われた」ことはあるけれど、私が「使った」ことはなかった。
私が能動的にアクションを起こすことで、自立した女である気がした。
私の身体は私が一番よく分かっていなきゃいけない。それは体調が悪いときだけではなく、どうすれば私が一番気持ちよくなれるのか、も含むと。
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女性向けのセルフプレジャーグッズと並んで、女性の性に関するテーマでタブー化されているのは、避妊だと思う。
子宮をもっているひとならではの責任は、妊娠だ。だけど、妊娠しないために女性が積極的にとる行為は、なかなかタブー視されやすい。
私は低用量ピルを服用している。服用を始めて1年半といったところだ。
服用を始めたきっかけは2つ。
1つ目は、大親友が、生理による身体の負担や生理痛やPMSで日常生活に支障が出ることを理由に、低用量ピルを服用し始めたこと。先駆者となって、私にたくさんのことを教えてくれた彼女にとても感謝している。今では、大切なピル仲間。
2つ目、コンドームだけのセックスをしたとき、人生で初めて生理が1週間遅れて来たこと。生理が数日遅れることはあっても、3日以上遅れたことがなかった。だから3日以上遅れたと気づいたときから、毎日祈るような気持ちで「早く生理が来てほしい」と思った。ネットで、コンドームの避妊失敗率を必死に調べて、どうしたら早く生理が来るのか正しくないネット知識を見ては、自分を安心させようとした。
生理が遅れてから6日目には妊娠検査薬を買った。妊娠したらどうしようという気持ちより、誰の子供なのだろうという気持ちがあった。私は決して1人の人とだけ関係を持ったわけではなかったから。
7日目、妊娠検査薬を使おうと思った時、生理が来た。眠れない不安な夜を過ごしたし、あの日は人生で一番、生理が来たことに感謝して、安心した。
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今では、ピルを飲むことで毎月の生理痛からも解放され、生理前後に精神的に不安定になることもない。もちろん血栓症になりやすいリスクやその他副作用を理解した上で、それぞれの身体に合うピルを正しく服用すべきだと思うけれど、低用量ピルを服用している=はしたないというイメージはなくなってほしい。
私は、確かに避妊のためにピルを服用している。生理による身体の負担を軽くするためにも服用している。
今の私には子どもを産む覚悟はないし、今は妊娠したくない。
だけれど、女だって、セックスを楽しむ権利はある。
女だって、自らの身体をコントロールして、男性頼りの避妊方法からおさらばすることもできる。男性と女性両方が同意と理解のもと、2人で避妊すべきだと思う。
セルフプレジャーグッズと女性ができる避妊方法は、フェミニズムの一種な気がする。
女性が女性の身体を理解し、身体を愛し、自らの快楽と楽しみを求めること。
それは、当たり前で、男性ともオープンに話せるテーマであるべきだと思う。