私の親友は体育大学出身のため、実に多くの思いをスポーツに対してもっている。
そもそも体育大学に進学するくらいであれば、かなりの運動神経を備えた人たちの集まりである。親友の彼女もまた幼少時代より数多くの競技を同時にこなし、小学生の頃はオリンピックが視野に入るくらいのスイマーだったとか。

運動こそ幼い時にやらせるべき、という一般認識がある。現に、とあるメディアが2021年に発表した「子どもに習わせたい習い事ランキング」では、男子1位水泳、2位英会話、3位野球。女子1位ピアノ、2位英会話、3位水泳と続いた。男女で内容に差があること、10位以内にランクインしているスポーツが水泳以外は男女で異なることは非常に興味深い。
最近の傾向として、英会話やプログラミング等の文系の習い事が増えているのは明らかだが、それでもスポーツを早めに習わせたい親の気持ちに時代変化はなさそうだ。

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親友と最近会った際に、まさしくスポーツの話になった。近況報告から、自分たちが経験してきた習い事の話に発展していった。
「習い事って何がいいんだろうね」
この私の呟きに彼女が即答したのは「ピアノ」だった。個人的には、これだけ様々な種類のスポーツをこなしてきた彼女にしては意外だった。
話を聞くと、「絶対音感は子どものうちにやらないと身に付かない」という実に論理的な理由(リコーダーもまともに弾けない私は、これ以上話を掘り下げることを止めた)。

この話の流れで思い出したのは、高校時代の友人の息子。1歳になったタイミングで体操を始めさせたことを、最近彼女のインスタで知った。他の友人も、娘が3歳になる前にダンスの習い事を考えていると言っていた。
やはり幼少期にスポーツを習わせることは主流なんだなーとしみじみ思っていたが、なんだか違和感。そもそもあの習い事ランキングのタイトルって「子どもに『習わせたい』習い事」。うーん?習わせたいって、凄く親の気持ちが強い。
もちろん、強制的に子どもを引っ張っていって通わせる訳ではないのは分かる。もしかしたら、「○○ちゃんが水泳始めたみたいだけど、見学行ってみる?」なんて上手く誘導したかもしれないけれど、子どもの意思はきっと確認しているはず。
でも、もやもやした気持ちは、きっとその選択肢が与えられないケースも知っているから。

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当時、私の地域では、小学生の女子はジャズダンスを習うことが流行っていた。クラスの大方の子が同じスクールに通っており、必然的に発表会前はその話で持ちきりになった。
私もその輪に入りたくて親に交渉したかった。しかし、4人も兄弟がいる我が家では金銭的に厳しいのは自明。それでも一人一つは習い事をして良いと言ってくれたので、私は水泳を始めたばかり。それを直ぐに辞めることも申し訳なくて言い出せなかった思い出がある。結局、それまで仲の良かったジャズダンスガールズたちは離れていった。

大人になれば、たかが学校の話、友だちなんていくらでも他でできると思える。しかし、子どもにとって学校こそが彼らの社会であり、日常の基盤の場所である。そこで大きな変化をむかえる、しかもヒエラルキーのような息苦しい何かを。それは大人には決して理解できない一大事なのだ。

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スポーツの力は偉大で、人に感動も生きる勇気も与える。だからこそ、その素晴らしさを子どもの時に知ってほしい親の気持ちがある。何もおかしなことではないが、その決断一つで、子どもの世界は良くも悪くも大きく変わることを知っておくことも大切だと思う。
習いごとを子どもの生活に入れるのは、週一回の一時間だけだとしても、子どもにとっては計り知れない結果に繋がり得る。始めるまでも大変だが、やはり始めた後に目を配ってほしい。
得られるものがクロールの方法やリフティングの回数ではなく、大きな心の傷になるかもしれないから。