『ご来店時に私を見つけたらいつも談笑してくださるお客様へ。
いつも当書店をご贔屓にしていただきましてありがとうございます。
勝手ながら私は大学生のときのアルバイトを辞めてからも
あなたのことをずっと気にしており、再会できたことがとても嬉しく思います。
これからもどうぞ、お体に気をつけて、時間がありましたら当店へお越しください。
ご来店と、またお会いできる日を楽しみにしております。
加須野美知より。』

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私は今、とある書店にアルバイトで勤務している。
勤務先は大学生のときアルバイトとして勤務していた場所と同じだ。
大学1年から大学卒業前まで勤務していたから、もう10年前の話であるが、とあるお客様との不思議なご縁が始まった。
きっかけは正直うろ覚えだが、そのお客様の問い合わせに対して不慣れながら対応をしたことだったと思う。
それから、「あなたは一生懸命で丁寧だから」とお褒めの言葉をいただき、私が担当していたレジに敢えてくるように順番を調整してまで会いに来ていただいたり、そのお客様の担当じゃなくとも、私のいたレジカウンターに来て談笑ができるまでになった。
このお客様との交流がなかったら、正直大学4年生で辞めるまで、どんなに辛いことがあろうが、アルバイト勤務を続けていられていなかったと思う。

そこから5年半、私は病気による休職期間を含め、前職である中古車関係の会社に勤めており、その半分は地元を離れて生活していた。
そのときも、時折お客様の顔を思い出しては「元気しているかな？」「今でもお店を使ってくださっているだろうか？」と思いながら自分の仕事をしていた。

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そんな私が、前職の企業を離れてから数ヶ月後、今年の2月に今の職場にアルバイトとして復帰をして間もなかったある日のこと。
そのお客様が私の担当しているカウンターにお越しくださったのだ。
さすがに個人情報もあるので「もしかして……？」と思いながら通常通りの対応をしていると、お客さまの方から「昔働いていましたか……？」と聞いてくださったのだ。
そう、その方もまた、私のことを覚えていてくださったのである。
念の為お名前を確認すると、そのお客様ご本人であったこと、私が一度退職してから5年ほどの間もずっと今の職場に足を運んでいただいていたことを知り、とても嬉しかったことは再入職してもうすぐ半年経つ今でも覚えている。
そしてそのときにお客様から言っていただいた、「あなたが大学生の時に一生懸命対応してくれたから覚えていたんだよ」と仰っていただいたことは、今でも仕事のモチベーションにつながっている。

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時は早いもので、今の職場に復帰してからもうすぐ半年経つが、今もそのお客様は私を見つけると必ず声をかけてくださり、必ずこの言葉をかけてくれる。
「数日前に来た時は会えなかったけど、今日、あなたに会えてよかったわ！」と。
普段の買い物が主な目的であることは重々承知ではあるが、そのオプション的な存在のひとつとして私に会えることをいつも楽しみにしてくれていると思うと、頑張ろうと思う今日この頃である。

そのお客様に私は挨拶を兼ねて「いつもご利用ありがとうございます！」と伝えているが、本当は心の底から伝えたい。
「あなたに出会えたおかげで接客の概念がより深まりました！いつもご利用ありがとうございます！これからもどうぞよろしくお願いいたします！」ということを。

私は今日もいつも通り仕事する。
でもあるひとつを楽しみに出社する。
そう、あのお客様にお会いするために。