私はいわゆる、アウトドアなタイプではない。そして夏が大の苦手だ。
蒸し暑いのも、強い日差しも、日焼けも、虫刺されも、汗でべたつくのも嫌い。やたらと夏が好き、海だプールだとはしゃぐタイプの人とは相容れないと勝手に思っている。
高校1年生の頃、膝上丈の制服のスカートとハイソックスの間、膝だけ日焼けして、随分と格好悪いことになって以来、日焼け対策を徹底している。
その後は、日焼け止めを塗りたくり、膝が出ないようにスカートの丈を伸ばし、日焼け防止手袋をして自転車通学した。それはダサいを通り越して異様な光景だったので、誰にも会わない朝早い時間に登校した。
大人になった今でも、とにかく日差しを浴びない生活を心がけている。
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去年の夏、友達と一緒に、知り合いが開催しているサップヨガ教室に参加した。
サップヨガとは、サーフボードより少し小さいサップボードを海に浮かべて、その上でヨガをするというもの。波が打ち寄せる度にボードが揺れ、普段マットの上でヨガのポーズを取る時と比べて、バランスを取るのが難しい。
いつもなら簡単にできるポーズでも、ぐらぐらとふらついて、私も友達も容赦なく海に落ちた。誰かが落ちれば波が立ち、また誰かが落ちていく。日差しでヒリついた肌に、冷たい海水が心地良かった。
頭まで海に潜ったのなんて、いつぶりだったろうか。もうメイクなんてどうでもよかった。誰かの笑い声と、水面に反射する光が眩しかった。
その日は8月の終わり頃で、まだまだ日差しは肌を突き刺すように強かったけれど、どことなく夏の終わりを感じる風が、ふわりと吹いていた。それがなんだかとても、とても心地良くて、私達は時間を忘れてビーチに居座った。
もちろんその日も日焼け止めを何度も塗り重ねていた。しかし、夏の強い日差しは、私が必死に守ってきた白い肌を、いとも簡単に焦がした。
案の定、家に帰る頃には、砂浜でダラダラしていて日差しを浴び続けた背中が真っ赤になっていた。日焼けというより軽い火傷だった。
今までの私なら、こんな事態に陥ったら途方に暮れ、絶望しただろう。しかしその日の私は「まぁ、いっか」と思った。
そんなことより、海で過ごしたその日1日が楽しかったのだ。油断したというより、なんかもう、なんでもよくなったのだ。楽観的な自分に、自分が一番驚いた。
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現代人は、スマートフォンやパソコン、電子レンジなど、あらゆる電子機器に囲まれて生活している。すると、体内に微弱な電磁波が溜まっていき、近年ではそれが、体調不良の原因の一つになると主張している人もいる。その体内に溜まった電磁波を体外に排出する方法として、植物を手で触ったり、裸足で砂浜を歩いたり、素肌で直接自然に触れる、という方法があり、これをアーシングというのだそう。
きっとあの日、私は体内に溜まりに溜まった電磁波を、全部海に捨ててきたのだ。
だから大嫌いな日焼けをしたことすらどうでもよくなるほど、心も体も軽くなったのだと気付いた。
そして、自然に触れること、心身共にリセットすることの大切さを痛感した。
今年は梅雨を放ったらかして、記録的な猛暑に見舞われている。きっとしばらく、こんなふうに酷く蒸し暑い日が続くのだろう。どう考えても気が滅入る。
でも、今年は少しだけ、ほんのちょっとだけ、夏が待ち遠しい。