わたしは21歳の誕生日当日、振られた。
なんとなく振られる予感はしていたけど、実際に言葉で聞くと悲しくて、辛くて、泣いた。
どうして振られたのか。わたしの何が駄目だったのか。
そこから毎日、自問自答を繰り返す日々。
そんな時、支えてくれたのが6歳上の姉だった。
姉は、たくさん相談に乗ってくれた。今まで恋愛の相談なんて一切したことがなかったのに、その時の言葉は今でもずっと、わたしの心の『おまじない』になっている。

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その頃のわたしは自分に自信がなく、今思えば、承認欲求を満たすために付き合っていたのかもしれない。
でもその時は、それに気付くことが出来ず、振られた彼のことで毎日頭がいっぱいで、たくさん悩んだ。
そんなわたしを見た姉は、わたしにこう言った。
「この先もし心を開いてほしい人が出来たら、まずは自分自身が相手に心を開きなさい」と。
その時は、どうしてそれが大切なのか分からなくて、ただ心の寂しさを埋めるために、ひたすら姉と遊んだ。

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その頃の自信のなさは恋愛だけでなく、友達との関係にも影響していて、本当に信用出来る人なんていないと決めつけていた。それなりに仲のいい友達もいたけど、誰一人として心を開ける相手がいなかった。
『ずっと』なんて存在しない。
これがわたしの口癖で、友達と上手くいかなくても傷付かないようにしていた。
だから、友達よりも家族を優先して時間を使っていた。姉と遊ぶのは本当に楽しくて、人見知りだったわたしは、自然と姉の明るさや愛嬌の良さに引っ張られて、人と関わるのが楽しくなっていた。
自然と知り合いの幅が広がって、関わる年齢の幅も広がって、知らないうちにわたし自身も明るくなって、辛いことも忘れていた。

それからは、学生時代に自分に自信がなさすぎて、仲良くなるなんておこがましいと思っていた同級生と、何気ないことをきっかけに仲良くなった。
今では何でも相談出来る関係性になることが出来て、この先もずっと大切にしていきたい存在になった。
わたしには本当の友達なんていないし、この先もずっとそんな存在は出来ない!なんて思っていた過去の自分に教えてあげたいくらい、今は大切な人に囲まれて幸せに生きている。大好きな人で溢れている。
これから先の人生は、わたしと関わってくれる人たちを大切にしていきたいし、感謝の気持ちを言葉や行動で返していきたい。

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人見知りすることなく、誰とでも仲良くなることが出来るようになった今でも、やっぱり新しい人と関わる時には緊張する。
だから今でも、21歳の頃に姉からもらった「この先もし心を開いてほしい人が出来たら、まずは自分自身が相手に心を開きなさい」という言葉は、わたしにとっての『おまじない』だ。
この言葉を心の中で唱えてから、話しかけるようにしている。そうすると、自然と笑顔で話すことができるようになる魔法の言葉なのだ。

この言葉で変わることが出来たわたしも、これからは周りの人たちに、良い意味で変化を与えられるような存在になっていきたい。それが今のわたしの目標だ。