私は自己肯定感の低い人間だ。
高校生の頃は、クラスや部活のカーストが低く、彼氏のできない自分は価値のない人間だと思っていた。
その頃に比べると、社会人になった今は、ある程度自立した生活を送る中で、自分を客観視できるようになった。
そして「がんばっているんじゃないか」と思えるようになり、自分を卑下する必要はないのではないかという考えを持てるようになった。

それでも、予定のない休日があることや、彼氏がいないこと、読書やジャーナルなどのインドアな趣味を披露することに気後れしていた。
出会いの場でも、キャンプやゴルフといったアウトドアの趣味を持っている方がアクティブで、異性からの評価も高いのかと思っていたが、実際にやっていないことを趣味として語るのは、はばかられるため、アウトドアの趣味を持っているという発言は控えていた。

◎          ◎

最近、4年ぶりに再会した会社の同期と話す機会があり、最近の趣味の話になった。
同期はキャンプに行ったり、釣りをしたり、色んな趣味を開拓中だと楽しそうに語った。
私は、最近はインドア派になり、読書をしていることが多いと恐る恐る言った。
図書館で目についた面白そうなタイトルの本を選んで読んでいるというと、「それ、いいね!」と肯定の言葉をくれた。

その言葉だけで、妙に気持ちが軽くなり、自己肯定感が上がる気がした。
そこから最近感動した本の情報を交換し、充実した時間を過ごすことができた。
その同期は、他の話題のときも、ことあるごとに「いいね!」という言葉をくれて、それだけで気持ちが前向きになり、インドアな趣味を持っていても、こんな考えを持っていてもいいんだ、と思えた。
共感されるだけで、相手との壁がすっと消えてなくなり、素の自分を出せるような気がした。
その同期とは、4年会ってなかったとは思えないほど仲良くなったので、肯定の気持ちを伝えることの効果は絶大なのだと感じた。

◎          ◎

いつだったか、私が言った言葉に勇気が出たと、友人が言ってくれたことがある。
「過去の自分の考えのベースに未来の自分がいるので、後悔しないと思う」という内容だった。
私がその言葉を言ったのが、何に対する決断をしたときだったのか、いつ言ったのかは残念ながら思い出せない。
しかし、将来の自分が過去の自分の判断を後悔するんじゃないかと心配したときに、現在の自分の考えを尊重して、決断したことが分かる言葉だと思った。

私も誰かを勇気付けられていたんだ、と背筋が伸びる思いがした。
それと同時に、今の自分が考えていることを信じることも大切なのだと、過去に言った自分の言葉に少し励まされた。

恐る恐るではなく、自信を持って何かに取り組むことができたら、きっと自己肯定感もぐっと上がるだろう。
自分は、まだまだ捨てたもんじゃないと前を向いていきたい。

私も前出の同期を見倣って、「いいね!」と伝え、誰かを前向きな気持ちにできるようになりたい。