私の推しは天才だ。
可愛くてかっこよくて歌がうまくてダンスがうまくて背が高くてスタイルが良くて努力家で絵がうまくてファン想いである。
贔屓が入っているかもしれない。ゴリゴリのファンとはそういうものだ。
ただファンということを抜きにしても、マジで表現力に才能があると思っている。
推しの歌声などがNFT化されたら数年後には高額で転売できると思うので、まあまあの額を出したいと思う。かなりの利益だ。推しで資産運用するな。
それくらい推しの才能は本物だと、贔屓を抜きにしても思う。

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しかしエンタメの世界は、才能があっても国民的、世界的大スターになれるというわけではない。
推しは確かに超人気者で売れっ子なのだが、もっともっと世間に、世界に、知れ渡ってもいいと思う。
だから推しよ、ジャスティン・ビーバーまで届け。
世界に1億超えのフォロワーをもつジャスティン・ビーバーにリツイートされたおかげで瞬く間に大スターになった人がいるので、推しもそうなってくれたら嬉しい。
推しとジャスティン・ビーバーはなんの関わりもないし、正直ジャスティン・ビーバーでなくてもいいのだけれど。
もっと影響力のある人にも推しの凄さを知ってもらいたいぜ〜!と、ウキウキワクワクしながら思っているのだ。

そのために私はただの一般的なファンだが、コソコソと動いている。
普段の推しを褒めるツイートは、推し本人にはもちろん、各方面のプロデューサーやディレクターなど、運営側にも届くように考えている。力のある立場の人に届いているかどうかは正直わからん。でも全く無駄では無いと思う。
「こんなタレントがいるんだ」と、私の投稿がきっかけで何か推しの仕事が増えてくれればいいなと思っている。

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ちょっと前までは会う人会う人に推しの凄さを伝えていたこともあった。地道な足で稼ぐ営業のようなことで、とりあえず少しでもファンを増やそうとしていた。いきなり推しの良さを語っても一方通行になってしまうので、まずは動画を見せてじわじわ浸透させていくのが吉だと営業スタイルを見直したこともあった。
しかし、この大インターネット時代、一対一でファンを増やすやり方は流石に非効率すぎる。TikTokなどで推しの切り抜き動画を出してバズらせる方が良いなと思ったが、推しは切り抜き可能な動画は出しておらず、無断転載になるからできない。どうすれば推しがバズるか日々課題だ。

近年ファンということをわきまえずに距離感を間違えるただの迷惑なオタクを「彼氏気取り」「身内気取り」などと批判されるが、私はそれでいうと「プロデューサー気取り」「マネージャー気取り」「広報部気取り」の最悪コンボが決まるだろう。マジで何をやってんねん。
ちゃんと迷惑がかからないようにあくまでも自分の投稿の中でやっているし、大丈夫だと思いながら、時々暴走してないかなと念のため確認している。

ちなみに会う人会う人に推しの凄さを伝えるのは、迷惑行為に近いのでもちろんやめた。それをわからずやってしまっていた時点で大丈夫じゃないかもしれない。
ただ推しのことに限らず、一方的に何かを勧めすぎることは、善意であったとしても迷惑になるという概念を知った。もう絶対にしないと誓う。逆に自分が何かをゴリ押しされた時は「あー、この人は勧めたいがばかりに周りが見えなくなっているんだなあ」と冷静に分析できるようになった。

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推し活のなかでたくさん失敗をして、自分自身も反省して成長している。これも素晴らしいことだなと自負している。成長自体は大したことなくても、自分1人では絶対にできないことだった。推しを応援しながら自分も成長していくことも、実は企んでいるのかもしれない。
最初は推しのおかげでちょっとだけバイトを頑張れるようになったのだが、人生の目標が決まって何事も頑張れるようになってきて、最近では「人生で嫌なことがたくさんあって推しに癒されて生き延びてきたけど、そろそろ自分で人生で嫌なことを減らせるように努力できないか?」と考えるようになった。これは推しを応援していたからこそ感じたことだ。

これからも推しのおかげでたくさんエンパワーメントされて、自分自身もさらに磨かれていくと思う。結局自分のためなんだろうか。
でもここまで卑屈な人間をどうにか頑張らせることができている推しのパフォーマンスは、やっぱりすごい。性格もファン想いなところも大好きだけど、たとえどんなにクズ人間だろうと推しの歌声や演技は絶対に手放したくない。
とにかくこれからも推しをどんどん応援していきたいので、もっと有名になってくれ。