夏に思い出すのは、私が中学・高校生の頃の今から10年以上前の地元の子ども会の手伝いをしていたボランティアのことだ。
このボランティアサークルの活動は年中あり、子ども会の歓送迎会やお楽しみ会・クリスマス会・市内のお祭りでのレクリエーションの運営などがある。その中でも夏休みが一番忙しくなる。学校で行われる野外活動での炊事やキャンプファイヤーを私の地元では子ども会の夏の行事として行うところが多く、その指導と手伝いを依頼されるのだ。

小学5年生と中学2年生に学校で野外活動があるが、このサークルではもっと踏み込んだ内容まで勉強出来る。例えば鉈を使っての薪割り・キャンプファイヤーの井桁の組み方・火おこしの仕方など会全体の計画から進行も行う。イメージはボーイスカウトが近いかもしれない。

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私は中学時代、学校の中だとなんだか委縮してしまっていて、このサークルで先輩や同期に会えるのが楽しみであった。
サークルに入った頃は引っ込み思案で、とても人前で話すことなど想像が出来なかった。先輩の中にはリーダーシップでみんなを引っ張っていくタイプやサポート役・レクリエーションが得意な人・話しが面白い人・どれもバランスよく出来る人さまざまだった。私は家以外にもありのままでいられる居場所が出来て嬉しかった。

小学5年生の時、子ども会の中の5年生の女子2人のうち、どちらかが神社で巫女として舞をする(夜に何度か練習に参加しなくてはならないもの)。もう1人はこのボランティアサークルの研修会に1年間(各季節1回ずつの全4回)参加するかを選ばなくてはならず、その子と話し合いをした。話し合いはすぐ終わり、私が研修会に参加する事になった。
市内5つの小学校が混ざり合ったグループが作られ、1年を通して研修会をする。夏には市内の宿泊と野外活動が出来る施設があり、1泊2日にわたり行われた。子ども会の役員さん(親御さん)たちのお手伝いを学んだり、グループワークでレクリエーションの出し物を考えたり、学校では学べない分野の勉強が出来た。

私は末っ子で、いつもお世話してもらう方だった。手伝いやお世話出来るのが楽しくなったこともあり、サークルに入会出来るようになる中学1年生の時に友達に誘われて入会した。

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中学生の頃は先輩に教えてもらったことをするので精一杯だったが、高校生になりサークル内の運営の中心に同級生と立つようになった。この頃には同級生が受験や部活などで入会時よりも減ってしまい、私と男子2人(その1人と当時付き合っていた)だった。この3人のバランスが良く、まとめ役・ムードメーカー・裏方となっていた。
私は裏方、特に資料作りが特に楽しかった。高校で商業科に通っていたこともあり、勉強したことを発揮できる場所があって楽しかった。

私の家は少し厳しく、夜の外出が難しかったが、活動の時は許してもらえた。子ども会の夜までのデイキャンプの時、本当は片付けも終わっているのに仲間と話したりして目一杯遊んでから帰宅していた。ちょっとした親への反抗が出来るのも嬉しかった。
子ども会によってはスイカ割りや花火を計画するところがあり、子ども達もとても楽しむイベントだが、私たちの方が楽しんでいたかもしれない。普段の友達とだとそういった機会はなかなかないので、とても良い時間だった。

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そして夏にはもう一つ大きな行事がある。それは県内や東海・北陸地区のこのボランティアサークルが集まる研修会や交流会だ。
その頃はまだスマホもSNSも今ほど発達していないので、一つのレクリエーションの進め方やバリエーションなどの違いを知ることや交流が出来ることが新鮮であり、とても刺激的だった。

他の地区のメンバーはもっと個性的な人が多く、高校2年生の時私は他地区との研修会でスタッフを初めて経験した。いつもこういった研修会には参加する側で、わからないことだらけで緊張しっぱなしの2泊3日だった。
当時付き合っていた彼がその研修会の総括を担当していて、負けていられないぞという気持ちから空回りしたり、思春期真っ只中の私はヤキモチを焼いたり、気を引き締めないといけない場面で失敗してしまい、反省点ばかりだった。

しかし、まわりの同期や先輩がフォローしてくれた。その中に夫がいたのだ。変わっていて面白い人だなというのが最初の印象だった。
当時は精一杯過ぎて気がつかなかったが、夫はその時初めて会って一目惚れしたらしく、私がフォローと感じていたことが実はアピールであったらしい(その2年後に付き合い、あれこれあって10年ほど経った今家族となっている)。

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あれほど純粋にひたむきにチャレンジしていた頃が懐かしく、あの夏がなければ私の学生時代はきっと黒歴史の塊だったと思う。私の青春はこのサークルなしでは成り立たず、悔しい思いもたくさんして、まわりに負けない事を見つけることも出来た。
夫は今でもこのサークルに関わっている。コロナ禍で研修会や行事が中止になっており、今のその世代のチャンスが減ってしまっているのを感じると、さみしい気持ちになる。