私のおっぱいは小さい。ちっぱいとか、貧乳ちゃんとか言われる。
仲の良い先輩によく言われたが、あれは男性ばかりの中にいる私を守るため、わざと言ってくれたんだと思う。そういう目で見られたり、こそこそ貧乳だと言われることを避けるためだったんじゃないか。
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母は貧乳をメリットとしか捉えない人だ。動きやすく、着る服も選ばないので、胸が大きな人を哀れむことはあっても、羨ましがるところは少しもなかった。母のおかげもあり、あまり気にしなかったが、かがみよかがみで、このことをコンプレックスだと思う人もいることを知った。
確かに、今の彼氏に対しては気にすることもあった。私は心配だったので、貧乳の良さをごり押しすることにした。
ネットで調べてみると、貧乳好きの男性の意見も多数見られた。これなら行ける。貧乳好きは少数派かもしれないが、そのページは貧乳好きの男性であふれていた。彼らは貧乳の女性の悩みに寄り添い、安心させるようコメントしていて、ネットのコメントしか見えないものの、紳士的に見えた。
こうして得た情報を使い、見事彼氏を、貧乳好きの変態に育て上げることに成功したが、彼とネットの人たち曰く「好きな子のおっぱいなら、なんでもいい」らしい。
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こういうことに関しては、私にとってはおっぱいより、性器の方が問題だった。私のは少しだけ中性よりなので、驚かれる。言われてみれば、教科書のと少し違ったのだな、こんなのまじまじ見ないし、生まれつきだから気がつかなかった。
通常通り機能すると母から説明され、とりあえず安心したが、事前に言っても驚かれる。思えば、これをいつまでも気持ち悪がらない人としか、性格の面でも上手くいかなかった。これを受け入れられるくらい好きになってくれる人でないと、長続きしないということだ。
性器がちょっと違うから、だからなんなんだ。そんなことで文句を言う人とは、そもそもどこかで性格が合わなくなる。そう思ったら、これは相手を見極めるのにちょうどよかった。
とはいえ、相手からしたらちょっと気持ち悪いかもしれない。しかし性器はともかく、ささやかな胸はかわいいじゃないか。そのくらいは受け止めてもらいたい。むしろ、そんなこともできない、度量が狭い男なんかお断りだ。その代わり、彼氏の短所のようなところも私は全部受け入れた。そういうもんじゃないのか。
そもそも、大きい胸がいいってなんで?見た目がいいから、揉み心地がいいから、とか?
確かにそれはいいことだけど、揉み心地ならクッション買っとけだし、見た目がいいって、まぁそりゃいいでしょうけど、おっぱいしか見てない男を私は信用できない。
好きな子のおっぱいが大きかったら、ラッキーと思うのはいいけれど、おっぱいが小さいからなんだとかいうのは、どうなのか。私はおっぱいという武器がない分、そういう男は寄ってこないという安心感はある。それを思うと、巨乳の人は大変そうだ。
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顔立ちも中性的で、女性らしいのは残念ながら似合わないと判断した私は、髪型も服装もさっぱりしたものにした。切り替えてみると、皆から「ショートヘアが似合っていていい」と言われるようになった。ささやかな胸も、きっと良さになる。あまり言わないだけで、貧乳好きもきっとたくさんいる。
まぁそもそも、胸で人を判断する人は、私は好きにはなれないけれど。