職場の元意中の彼(呼称:おしぴ)が、「言ってなかったっけ?」で話を始める時、私は身構える。
以前は同じフロアで毎日顔を合わせて喋るし、なんならLINEもほぼ毎日してるし、お互いの情報をなんとなく知ってる気でいた。だけど、フロアが別になり会わなくなれば、必然的に会話は減る。LINEは変わらない頻度だが、内容は会って話すより限られてくる。
たまに会えば主に私が近況報告をバーっと喋るのだが、彼のターンでの「『言ってなかったっけ?』情報」は、毎度私をへこませてきた(主に彼の女関係の話)。前置きされても、心の準備なぞできるものでもない。

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そんなおしぴから「実際に遊べるけど」と連絡がきたので、ちょっと小喜びしつつ、オンラインではないことの確証をゲット。実に、会って遊ぶのは正月、カラオケに行ったぶりである。
年末にこれも「『言ってなかったっけ?』情報」として、彼女がいることを打ち明けられ、女が遊ばせてくれないとか、誠実になったんだなぁと思ったけど、そんなことなかったみたいだ。彼女持ちと2人きりで遊ぶなんて……と私にも周りから見れば非があるように思えるが、まぁ、友達というか職場の同僚であるので呑気なふりをする。

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ポテトをつまみながら、一緒にいるけどオンラインゲーム。私がポテトを好きなことを知って、毎度「食べないの?」と聞いてくれるのも嬉しくなる。好きなものや、いつ話をしたかもよく覚えていない情報、それをふと出してくれたりすると、嬉しさが込み上げてほんと笑いが止まらなくなっちゃう。
今は私のターンだ。次は彼のターン。何の話が出てくるのか。そもそもなんでおしぴなのに一緒にいることを純粋に楽しめないんだろう。

毎度そうだが、おしぴから女の話が出てこないかヒヤヒヤする。彼女が出来てから、意図的に私からの話は、内容を限定するようにしている。ゲームをするために電話をするなら、ゲームの話といった具合だ。仕事の話とか、その他のプライベートの話とかは私は避けている。気づいてるかどうかは知らんが。
それだったら、不意に傷つくことはほぼない。まぁ、一度電話中にナチュラルに女の話が出てきて、秒で電話を切ったこともあったが。

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今回の「『言ってなかったっけ?』情報」は新車に替えたことだった(これは別の職場の人から聞いてて実は知っていた)。とりあえずそこまでへこまなかった。以前次買う時は、ファミリーカーかなぁとか言ってたけど、ファミリーカーじゃなくて良かったとも思った。
それよりも友達(女子)とバスケをしたこと。さらっと言うんじゃないよ。わざわざ友達、女子だけどっていう必要もない。友達で良かろう。それも腹立たしいわけだ。

一個一個をここにこうやって書き残していることに気持ち悪さを感じながらも、女の話以外は全部全部知っていたいのだからしょうがない。傷つくかもというリスクを背負いながらも会いたい、喋りたいという気持ちがめちゃくちゃに上回っている。ウルトラのドMだ。
自分が彼女であったとて、あまりにも無茶苦茶で傲慢で強欲すぎるのも分かっている。次はいつ会えるかなぁとワクワクしつつ、会った時に「言ってなかったっけ?俺結婚するんだ」という地獄の報告を想像して吐きそうになる日々を過ごしている。