韓国の人気アイドルグループの写真には、いろんな髪色の人が並ぶ。今や日本人のアイドルもそうだ。
この髪の毛を保つために、どれだけ苦労しているんだろう。まぁアイドルは仕事だから仕方ないにしろ、身の回りにも茶髪の人があふれていて、なんだかなぁと思ってしまった。
「一番きれいなのは黒髪」
そんな彼氏の言葉が頭の中に響いた。

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母子家庭支援の寄付のお願いが、私のところにも来た。以前寄付をしたからだろう。今回はまた違った形の支援だが、これは寄付はしないでおこうと思った。
理由は実際に支援を受け取った人の写真を見たことだ。顔は隠してあるが、お母さんの髪がきれいな金色だった。

私も髪を染めたことがあるから、髪を染めることにどれだけお金がかかるかは知っている。1回あたりの金額はカラーのみで5000〜8000円が相場とあったが、リタッチなどで定期的にお金がかかるし、髪が傷むのでケアも必要になってくる。あれだけ明るい色ならブリーチもしているだろうから、こんなもんではないはずだ。
仮に多少プリンになってもいいとして、ヘアカラーが3ヶ月に1回だとしたら、年間低く見積もって2万円はかかる。年間2万円もかかることをやめたら、こんな支援を受ける必要はないだろう。

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私がヘアカラーをやめた理由は、彼氏が黒髪が好きだからだ。
黒がいいと言ってくれている人がいるのに、わざわざ染める必要もない。それに私は学生時代にいろんな色やアレンジを楽しみ、カラーについてはもう充分遊び尽くして満足していたから、そろそろ落ち着くのも悪くなかった。
彼氏の黒髪が好きな理由にも納得した。自然の色の髪は光に当たっていろんな色に輝く。染めた色にはない美しさがあるから、茶髪でもなんでも、染めていない色が好きなんだそうだ。それでも自然茶髪の彼は、黒髪が一番きれいだという。確かにきれいだなと思った。

見た目をきれいにすることは、自分のために必要なことなのかもしれない。でも、日本人の黒髪は美しい。それを捨てるのはもったいないことに見える。
欧米の人たちが羨ましがる黒髪を何故私たちは手放したのか。欧米的な物しかみていなかったからか。黒髪しか良さがないと言われたからだろうか。そんな何も見えていない人の目にも美しいと映る黒髪は、素晴らしいものなんじゃないか。たいしてケアもせず、よく見ればアホ毛も目立つ私の黒髪はイマイチかもしれないけれど。

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シングルマザーは髪を染めるなということではない。染めるのは自由だ。ただ、支援したいという気には私はなれなくなった。だから多分、ここへはもう寄付はしない。子供に罪はないとか言うかもしれないけれど、そう思う人が寄付をすればいいだけの話で、私がやめることについては口を出されたくない。
そもそも黒髪はきれいなんだから、アジア人の皆に、そのままの髪も美しいよと言いたい。私たちの持つ良さに自信を持とうよ。

窓からの光で髪の毛がキラキラ輝く。私のはよく見ると青く光っていた。確かに染めていた頃は、光があたってもその色がただ明るく見えるだけだった。
それにしても私も、もう少しケアをしてみようか。油分を補ったら良くなるのは知っているし、毎日とかしている髪も、もっととかしてあげたほうがきれいになるはずだ。まず私自身が、この黒髪に自信を持てるようになりたい。