私の勤めている会社は、主に現場職と事務職がある。また、社内行事の一つとして、有志が市内の駅伝大会に毎年参加している。
大会当日に撮影した写真を選定し、コルクボードに切り貼りしていく作業を、ランナーである現場の男性社員を中心に行うことも恒例になりつつある。完成したボードは食堂に飾る。
4、5年程前、若手の女性社員が私しかおらず、ボード作成作業を断れなかった2年間の2回。私は男性社員の家で、ボード作成を手伝うことになった。

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男性社員の同級生2人を呼び、19時からご飯会兼ボード作成が始まり、各ランナーのタイムを調べ、コメントを記入して、帰宅は22時を回ることもあった。
後日、打ち上げも開かれた。最初の頃は、同じ会社の社員に可愛がられることが嬉しかった。だが、ふと「これは、距離が近すぎるのではないか」と感じ始め、怖くなった。
男性社員は、ご飯会に同席している同級生や、実の弟を私の彼氏候補として推薦してきた。話は合ったが、私より15歳程上の彼らを、恋愛や結婚の対象として見ることはできなかった。

これ以上、彼らと深く関わりたくない。私は彼らと距離を取ることにした。
グループLINEから退出し、彼らのLINEを削除した。グループLINE退出の理由を問われて「資格試験の勉強のため」と答えた。「いつ試験なの?終わったらご飯に行こう」と彼らはしつこく誘ってきた。
昨年の駅伝のボード作成には、私は参加しなかった。代わりに、後輩の女性社員2人が参加した。事前に後輩達には、私が彼らを避けている理由を話していた。

だが、私の不参加により、後輩達を見捨てた形になったことは心苦しかった。
後日、後輩達に当日の様子を聞くと、会社の休憩所でボード作成をしたようで安心したが、ボード作成に対する彼らの思いがヒートアップし、帰宅が遅くなったそうだ。帰りは後輩の一人が車を出して女性同士で乗り合わせて帰ったという。
「◯さんが言っていた通り、ボード作成に時間が掛かりました。疲れました」と、こぼしていた。

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また、別日に同じ男性社員に突然話し掛けられた。「取引先の知人で独身の男性がいる。会ってみないか?」と誘われた。
断りかけたが、以前に後輩が「彼氏が欲しい」と言っていたのを思い出した。「知人で彼氏が欲しい人がいるので、その子に紹介してもいいですか?」と話を持って行った。
初対面の際は私も同席する形で話がまとまりかけた時、男性社員は言った。
「さっき、君の電話番号を取引先の男性に教えたよ。僕が間に入るより、話が早いからね」
悪びれた様子もなく、勝手に連絡先を教えた男性社員に、私はブチギレた。すると「え?連絡先を教えちゃいけないなんて、君言ってないよね?」と返された。すぐに、男性社員の電話番号を削除した。

私が電話に出ないため、謝罪のショートメールがひっきりなしに届いた。呆れて、着信拒否にした。男性社員は懲りずに社用携帯からもショートメールを送ってきた。
恐怖心が込み上げた。ショートメールを削除する前に、後輩の女性社員にメールをスクリーンショットして送った。
「こんな連絡が来る場合があるから、交友関係には十分注意してね。一見良い人そうに見えてもだよ。結婚の有無に関わらず、おじさんらには裏があったり、何するか分からないから」

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自分の経験を踏み台に、後輩には、自分の身は自分で守るように呼びかけている。おじさんが連絡先を聞いてきても交換しない。交換しても必要最低限の返事のみ。誘いには乗らない。徹底してほしい。
現時点では、後輩は私の助言を守って、おじさんと連絡先を交換していない。連絡先交換を拒んだことによる多少の気まずさはあるようだが、その後のトラブルを未然に防ぐことができている。
先輩として、後輩には今後も可能な限り助言をしていき、女性、同性同士での連携を図っていきたい。