17歳の夏、小学生からの幼馴染と恋愛をした。幼い頃から近くにいるのに、とんでもなく好きだった。
高校生でお金がないから、近所を10時間も散歩しながら話した。近所だからお泊りするのも楽だったし、親同士も高校の同級生だったから何かと融通が利いた。
男勝りだった私を選んでくれて、側にいてくれた2年間から、あの恋から学んだこと。それは「恋愛に溺れてはいけない」ということ。
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1年過ぎて18歳の夏。受験真っ盛りだった。
彼は就職組だったけれど、私は進学組。そして私の希望校は所謂、難関大学だった。理系クラスで毎日課題、課題、課題。模試をやって、結果に一喜一憂して。
それを不満そうに見つめていた彼。構われない寂しさをあからさまに態度に出す、今思えば等身大の18歳の男子だった。
私は彼が離れていくのが耐えられなかったし、本気で結婚するなどと思っていた。今思えば単純で、若くて、何も知らない考えだったと思う。大切な受験期なのに、彼に構える時間があれば勉強をいったんおいて彼に構うこともあった。
そして冬。当時のセンター試験の結果は正直ダメだった。
実のところ、本命の国立大の推薦入試に落ちて、もうセンターしかない!とその結果に賭けていたけれど、本命はギリギリいけるか、ギリギリ無理だろうな、という結果。そして私は、何をトチ狂ったか、ギリギリ行ける方に賭けず、余裕で合格が出来るであろう地元の大学を選択した。
やりたい学部も全然違う。その当時の私の思考は「早く受験から解放されて彼と遊びたい、地元の大学に進めば彼と遠距離にならずに済む」だった。
本当に本当にバカだったと思う。何回でも言うけれど、18歳の私はバカだ。
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大学に進み、周りの学力の低さに驚いた。こんなところに来たかったんじゃなかったと本気で後悔した。
でも彼がいたから頑張れていた。でも、19歳の夏、案の定、彼とは別れた。
あちらの浮気だ。あまりにも呆気ない。びっくりするくらい泣いて喚いて、見下していた周囲の友人に丁寧に慰められて、情けないと思いながらも、初めてこの大学で彼女たちに知り合えてよかったと思った、私の最低最悪のエゴは今でも覚えている(彼女たちは今でも交流のある、素敵な友人になりました)。
その後の人生も、割と後悔して過ごした。希望の学科ではないので授業はつまらない、課題も簡単、クラスの子たちに勉強を教えて過ごす毎日。一体全体、私は何のために奨学金という借金を背負ってまでここにいるのだろうか?就職してからも、あの学科に行けていたらもっと違う人生だったのか?と考えたらキリがない。
それもそのはず、彼の存在だけで大学を決めたのだから、彼がいなくなった後、大した価値を見出せるはずもない。
恋愛に溺れた結果、自分の人生を左右するような判断を見誤った私。18歳の私に言いたいのは「恋愛に溺れるな! 正常な判断をして!」ということ。一人の男の存在で、人生を決めるべきでない。
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私は今、結婚して子どもがいる。浮気をしなさそうな誠実な夫と、可愛い盛りの娘。これらはあの時、18歳の私が判断を誤らず、希望校に進学していたら有り得ない未来だったのかと思うと、恨むに恨めない。
そして何より、私は今、18歳の私が諦めた大学の希望する学科に通う、社会人大学生になった。大人になっても学びを続けられる意欲は、あの時、恋に溺れて失敗した私の後悔、コンプレックスが原動力になっていることはまず間違いない。
それから、家庭に入って夫に尽くそう、ではなく、私のやりたいことは全て諦めない!大学に行き直すぞ!というマインドは、当時の彼が私を裏切ってくれたおかげである。
18歳の私はバカだったけど、忙しくも幸せで、眩しいくらいの日々を送れる28歳の私の糧になってくれたことには感謝したい。