「ほんと、ぶりっこだよねー」
「いつも真面目ぶってるじゃん」
「もぴってまじで天然すぎるわ(笑)」

これは当時小学生だった私が、同級生に言われて忘れられない言葉ワースト3選。当時の私の印象は、ぶりっこで天然ボケな、真面目ぶってる小学生だったらしい。
声が少し高めだったからなのか、学年で人気の男子を好きになって女子たちからの反感を買ってしまったのか、成績が他の子よりも少し良かったからなのか、気の弱そうな顔をしていたからなのか……。
自分のことを“ぶりっこ”とも“天然”とも全く思っていなかったから、一部のクラスメイトから言われたその一言に、小学生だった私はものすごく傷ついた。その時は苦笑いを作って頑張って誤魔化したけど、15年以上経っても覚えているから相当のトラウマだったかもしれない。

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私の通う中学校は1つの小学校がそのまま持ち上がりのため、私のこのイメージは中学校を卒業するまでつきまとい続けた。少しでもぶりっこの印象を払拭するためにそれまで名前呼びだったものをクラスのバレー部の友達を真似して「うち」呼びに変えてみたり(今は自分のことは「わたし」って呼んでる)、声を少し低めに出せるように頑張ってみたり、ボーイッシュな振る舞いをしてみたり。
今思うと変な方向に頑張ってる自分がものすごく恥ずかしいけど、それくらい“中学校”という狭い世界で自分の居場所が無くならないよう、とにかく私は必死だった。
だけど、部活で副部長を務めた時も、生徒会に選ばれた時も、そんな自分の頑張りとは裏腹に「やっぱりもぴは真面目だから」とひそひそと言われているような気がして仕方なかった。

「みんなが行くであろう近くの高校には進学しない。ずっと行きたかった高校に推薦入試で絶対に合格する」
私は自分のことをけなし続けた同級生たちを見返すため、勉強に、部活に、休日の学校外の活動に全力で取り組んだ。その結果、自分が学校外で続けた活動で賞をいただき、成績も上がり、結果的にずっと行きたかった志望校に推薦入試で合格することが出来た。私をけなし続けた一部の同級生が私の合格を知った時の羨望の表情は忘れられない。
今思うと、壁にぶち当たった時やパワハラを受けた時に助けになってくれた私の「なにくそ根性」の始まりはここからだったかもしれない。

高校入学後は気の置けない友人とだけ連絡を取り合って、他の同級生とはほとんど連絡を取り合うことは無かった。そのまま私は高校を卒業し、小・中学生の頃に言われたトラウマが少しずつ薄れつつあった頃、二十歳を迎えた。

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私の地元では成人式の式典後、地元の居酒屋で同窓会が開かれることになっていた。本当は行きたくなかったけど、小学6年生の頃に決めたその同窓会の実行委員になってしまっていたため、しぶしぶ足を運んだ。
会場に着くと、大人になった久々に会う同級生の面々。
髭を生やして煙草をくわえていても、バサバサの派手なつけまつげをしていても、当時の面影がぼんやり残っているからすぐにクラスメイトだと分かってしまう。
少しだけ嫌な思い出がフラッシュバックする中、友人たちと談笑していると、同級生の1人が話しかけてきた。

「もぴは久々に会っても全然変わんないなー、やっぱり天然オーラをまとってる」
やっぱり言われてしまうのか。昔の苦しい過去がフラッシュバックするのが嫌で、雰囲気を壊さないように私は言い返してみた。
「なんだそれ(笑)、わたし天然って言われるのよく分かんないし嫌なんだけど」
すると彼は驚いたようにこう言った。
「え、嫌だった?!俺は嫌なつもりで言ってないしむしろ褒めてんだけど。もぴのまとう雰囲気が癒される~って意味で言ってたんだよ、なぁ〇〇もだろ?」
すると、私の隣で談笑していた友人も続けてこう言った。
「そうそう、ほんとにもぴは一緒に居て癒されるし、真面目に何でも努力してたからなんかちょっとわたし羨ましかったもん~」

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彼らのこの言葉を聞くまで、ずっと私に対して使われる言葉はどれもマイナスなものだと数年間思い続け、私はそれがコンプレックスでもありトラウマだった。
確かに妬みや嫉みのマイナスな意味で私にその言葉を投げたクラスメイトもいたと思う。だけど、目の前にいる彼と私の隣の彼女が本心からそう言ってくれたおかげで、私の心にずっと引っかかっていた大きな黒い塊が少しずつ溶けていくような気がした。
真面目に答えてくれた彼の言葉が恥ずかしくも嬉しくて、私は「そかそか、なら良かった~」と適当に相槌を打って、すぐに別の話題へ切り替えた。

きっとまだ中学生だった私が今の言葉を聞いても、斜めに受け取っていたかもしれない。それくらい当時の私は同級生たちに対して言われた言葉のせいで自分の見られ方を気にしていたし、何としても見返したい気持ちでいっぱいだった。中学を卒業し、しばらく会っていない時間があったからこそ、きちんとこの言葉を受け止めることが出来たような気がする。
憂鬱だったけど、同窓会来てよかった。ちゃんと言い返してみてよかった。

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成人式後から急激に仲良くなった地元の友人達とは、あれから数年経った今でも男女含めた地元のグループLINEで時々連絡を取り合っている。コロナ禍になる前はみんなで海に行ったり飲み会を開いたり、定期的に集まっていた。去年はその友人の1人の結婚式にも参列した。
今でも「もぴはいい意味で本当に変わらないなぁ」とか、「お前が天然すぎるからこの先の恋愛がマジで心配だ」とか、同い年なのに父親みたいなことを言っていた友人もいた。今の私はちゃんとこの言葉も受け入れることが出来てる。

小学生の私が知ったらきっと驚くだろうな。空白の時間があったからこそ、改めて仲良くなれた地元の友人達。仕事に邁進したり、家庭を作ったり、それぞれが別々の道で頑張る大切な友人達とこれから歳をとってもお互いに「変わらないなぁ」と笑って近況を報告し合えるような仲でいられたらいいなと思う。
コロナが落ち着いたら、またみんなで楽しく集まることができますように!