1年前、初めてエッセイを書いた。
それが私にとっての「勇気の思い出」だ。
エッセイ募集を、インスタ広告で見つけた。募集テーマは「あの人に憧れて」。
見つけたのは9/25、締切は9/26。
エッセイの書き方もあまり分からないまま、衝動的に書いて、投稿した。

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数日後、掲載の連絡が来た。
嬉しさのあまりTwitterにURLを載せた。私の憧れの人、ハラミちゃんについて書かれたエッセイ。
すると、ハラミちゃんファンの方々が想像以上にたくさん読んで下さり、いいねやRTもいっぱいついた。
それもあってか、ハラミちゃんご本人にも読んでいただけて、リプライでメッセージまでいただいた。
初めてだし、サイトに載ったらいいなくらいの気持ちだったから、驚きと感動の連続だった。

この経験は、間違いなく私を1歩前に進めてくれた。
人見知りがすごくて、まともにお話もできず、臆病で泣いてばかりだった幼稚園の頃の私に言いたい。
「大丈夫。20年後の私は、たくさんお友達がいて、毎日笑ってる。自分の気持ちをすぐ言葉に出すのはまだまだ苦手だけど、ちゃんとおしゃべりもできてるよ」

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今の私に必要なこと。
それは「過去のトラウマに向き合うこと」。
音大に行くか迷っていた頃からの夢がある。
「オーケストラ伴奏でヴァイオリンコンチェルトを弾きたい」
音楽の道に進まなかったのに、どうしてこの夢を諦められないのだろう。
それは自分が一番分かっている。
負けず嫌いなのだ。誰かと競争するのは好きじゃない。でも自分に負けたくない。
今の自分に勝つにはトラウマを乗り越えるしかない。

小学校4年生の頃、コンクールで無伴奏の曲を弾いた。途中で間違えてしまい、続きがわからなくなった。頭が真っ白になった。無伴奏だから、一人ぼっち。どうにか思い出して最後まで弾ききったが、それ以来、何度舞台に立っても途中で間違えてしまうようになった。高校生の頃には、私の自信はどん底だった。

ネガティブな私が言う。
また間違えちゃうのかな。
せっかく足を運んでくれた方々にも、一緒に演奏するみなさんにも、迷惑かけちゃうんじゃないかな。

ポジティブな私は言う。
間違えたっていいじゃん。
自分に今できる全力を出して、その場を楽しもうよ。

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あまり乗り気ではなかったが、親に促されるまま大学のオーケストラに入ったら、部員のみなさん、先生方にも大事にしてもらえた。その後、知り合いに誘ってもらいアマチュアのオーケストラに入団。大学のときとは比べ物にならないくらいレベルが高かったが、団員の方々が私の実力を評価して下さり、オーケストラにとって重要な役割を与えてくれた。SNSに耳コピして弾いた動画を載せると、顔も知らない誰かがいいねやコメントをくれた。

自分には大きすぎる目標を、誰かが読むかもしれないところでエッセイとして書いている今、以前よりは確実に自信がついている。
1年前、エッセイを読んだ憧れの人が、こんなメッセージをくれた。
「周りと比べる必要ないからさ。あいたんの人生、思いっきり音楽を楽しむ人生にしようよ」

1年後、私はまた前に進めているだろうか。
もしかしたら、また壁にぶち当たって、止まってしまうかもしれない。
それでも、自分を支えてくれる人がいるはずだ。憧れの人も、そっと見守ってくれてるんじゃないかな。
そんなことを思いながら、私はまた1歩進み出す。