怠惰で自堕落、何をするのもめんどくさいという人間失格の権化である私であるが、常に何かをしていないと存在意義がわからなくなるのも私である。
よって、毎日細かい家事をこなしたり文章を書いてみたりして過ごしているのだが、それでも本当に本当に疲れてしまって何もかも投げ出したくなる時期がたまにくる。
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そのときはお皿を1枚洗うのでさえ、否、洗わなければいけないお皿が1枚キッチンにあるだけで、絶望的な気持ちになって泣きそうになってしまう。
私がそういった状態に陥ると、恋人は、
「今日はもう寝ましょう、元気になったらやればいいんですよ」
と言ってぬいぐるみを渡してくれるのだけれど、いつ元気になるかわからないし、タスクが溜まっている状態が許せなくて、結局泣きながら洗い物などの家事をする。「なんで私がやらなきゃいけないの、自分が使ったお皿くらい自分で洗ってくれればいいのに」などと心の中で悪態をつきながら、自分ほど不幸な人間はいないような気分にすらなる。
普段ならお皿やお箸が幾つあろうと何も感じずに洗えるのに、お箸1本洗うことですら本当に悲しいのである。
そんなときは、実家に帰って祖父の使っていた、陽の入らない真っ暗な部屋に閉じこもって、繭の中にいる気持ちになって眠っている。ずっとずっと、今が朝か夜か分からないまま、眠り続ける。眠れない時は医師から処方された睡眠薬を飲んででも、とにかく眠る。「大丈夫、私は守られた存在だ」と思いながら、お気に入りの茶トラ猫のお布団に丸まって眠る(こういうとき、恋人が「もう寝ましょう」というのはとても正しい対応だと感じる)。
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経験上2、3日それを続ければ、本を読める程度には回復する。
だから眠ったあとは、大好きな漱石や鏡花の本を濫読する。「もう大丈夫」と思えるようになるまで、活字の海を揺蕩う。
余談ではあるが、その数日間、私は正直恋人からの連絡すら、返す気力を持てないでいる。
それでも声を聞きたい気持ちはあるし、会いたいとも思うから、少し頑張って短いLINEを送りあったり通話したりする。
大好きな恋人に対して「連絡がしんどい」なんて思ってしまうのは本当に申し訳ないし悲しいのだけれど、本当に人と関わるのが辛い状態なのである。
本を読むだけ読んだらもう全快のときは近い。
家の近くを散歩したり、母の買い出しについていけるようにもなる。
大体1週間から10日、私は眠るか読書をするかして、疲れを癒す。
大丈夫になったら、祖母の眠るお墓にご挨拶して、両親にお礼を言って、恋人と暮らす家に帰る。また「自分可哀想」モードに戻らないように、帰ってからもしばらくは恋人の隣でゆっくりと過ごす。本を読んだりシーシャを吸ったり、好きなことをしながら。
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休むのが下手な私は、いつも壊れるギリギリになるまで休むことができないのだけれど、最近は少しくらい休んでもいいかな、と思えるようになってきた。
この記事を読んでくれているあなた。あなたもつらくないように、心が壊れてしまう前に、ゆっくり休んで英気を養おうね。
読んでくれてありがとう。お互いできるだけつらくないように生きていこうね。