人生で初めて長くお付き合いをした彼は問題児でした。
20歳から23歳までの3年間で、私の恋愛への捉え方は歪んでしまった。
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彼はモラハラ彼氏です。とても孤独な人で不器用な人でした。
彼は怒ると感情のコントロールができず、物や私に当たります。
誰も止めることはできません。
机は半分に割れ、瓶が割れた破片が床に散らばり、部屋の中がぐちゃぐちゃです。
そして彼は私に怒鳴ります。
「お前が全部悪い」「出ていけ」「どうしてくれるんだ」
そして怒りが収まった後、彼は私に謝ります。
「ごめん」「お前は悪くない」「いつものこと」
最初怖くて泣いていました。そんな私に彼は「こんなことで泣くな。強くなれ」と言いました。
言葉の通り、別れた今では本当に強くなったと実感します。でも感謝などありません。
ご飯決めてと言われ、ここに行こう!と言うと、
「俺がカフェとか嫌いなの知ってるよね?」
と機嫌が悪くなり、大喧嘩。
私は土砂降りの中、車を降り、歩いて車から離れます。
それは数日に1回、私の感覚は麻痺していました。
友達との付き合いは減り、仕事以外は彼と一緒でした。
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なぜ別れなかったのか?そう思いますよね。
実際に経験したことがある人にしかわかりません。
彼は私がいないと死んでしまう。私がいないと孤独になってしまう。そう思ったのです。
怒鳴った後は笑顔でごめん、どっか出かけようか?と優しくしてきます。
あの日々は、愛ではなかった。あれは執着・歪み……手錠で繋がれていたような感覚です。
家族や周りから見放され可哀想であると勝手に想像してお世話して、傷ついて、ボロボロになっても気づかない日々でした。
モラハラ彼氏は殴りません。手を出しません。見えない言葉の暴力を使います。
言葉の暴力で心はボロボロです。別れた今でも急に、苦しくなり、泣く時があります。
でも周りのみんなは、いつも笑顔で楽しそうだね!と……そんなものです。
無意識のうちに人の機嫌を取り繕うのが上手になり、自分の感情を見失ったのです。
私が悪い、私なんて、私はダメだ、生きている価値がない、生きる意味がわからない……。
こんな日々が永遠に続くなんて嫌だ、もう消えたい、そんな日々から目覚める日が来ました。
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私は夢だった留学へ飛び込みました。
留学した最初は連絡を取り合ったり電話をしたりしていました。
でも徐々に悪夢が薄れ、現実に戻り始めました。
「あ〜、もうあの日々に戻れない。今が別れる時だ」と確信しました。
そして、彼に「もう彼氏として見られない。喧嘩の日々に疲れた。将来一緒にはいられない」そう告げたら、彼は泣いていました。でも私は絶対に彼のもとには戻りませんでした。
そんな今の私は男性を信頼できない「恋愛不器用女」になってしまいました。
でも、自分の好きなことができて幸せだし、今自由にできていることに感謝しています。
ふと、昔を思い出し、人を遠ざけて1人で泣いていることがあります。
彼は別れた今でも私を蝕みます。それが悔しくて自分を責めてしまいます。
世の中には「モラハラ」という目に見えない暴力に苦しんでいる人が沢山います。
いつかそんな人の役に立てることができればいいなと考えています。
恋愛は苦しむものではない、相手を支配するものではない、傷つけるものではない。
「お互いの人生をより豊かにするもの」
「あなた自身を幸せにするもの」
「人生は1人でも幸せだけど、あの人がいたらもっと幸せ」
これが本当の「愛」「恋」「恋愛」だと私は思います。みんなが幸せでありますように。