やっと土曜日だ。長かった一週間が終わった。
勝った、って思った。私にとって仕事場は「戦場」だ。週末が終わるとまたあの「戦場」に行くのだ。考えるだけでも胃がキリっと痛む。

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お休みは私にとって祝福の時間だ。仕事をしているときは自分を押し殺している。自分がしたいこと、言いたいことを抑える。上司や後輩すらにもヘラヘラヘコヘコして、失敗したら何度も謝る。呆れた表情をして見られている気がする。腫れものに触るように。

私を邪魔者扱いにして。失敗するとすごく嬉しそう。みんな自分が大好き。人のことなんてどうでもいい。私なんてこの場からいなくなっても誰も何も気にしない。そこのポジションは誰でも代替可能だ。虎視眈々と狙っているんだろう。
助け合うなんて気持ちはこれっぽっちもない。信じられない。絶対信じてはいけない。
耐える。苦しい。私にとって仕事は苦しいものだ。代価として、自由を捨てて、お金がもらえる。私の心はきっと既に死んでいる。

お休みは、私を取り戻す時間だ。何をしようかな。自由な時間ってほんとに贅沢なんだなって思う。
学生時代は自由な時間がたくさんあって、時間が過ぎるのが遅く感じていた。学生時代に戻りたい。だけどもう戻れない。

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私のお休みの日の過ごし方は、他の子と比べるとかなり地味だ。人に自慢できない。近所の雑貨屋さんに行ってウィンドウショッピングをしたり、定期があるのでバスに乗って駅に行く。節約をしているため滅多に物を買わない。家で食べるためにパン屋さんのパンを買う。見た目が可愛らしいケーキを買う。身体に良さそうなお弁当を買う。

社会人になって友達付き合いがめっきり減ったため、ほとんど1人で行動している。友達がいない自分を哀れだなと悩んだこともあった。そして彼氏もいない。強く望んでもできない。
最近は新しい服を買ったりメイクをするのも億劫になってしまった。

同年代に比べてほんと地味だ。哀れだな。まだ若いのに?いや、もう若くないか。ああ、彼氏と花火大会に行ったり、温泉行ってみたいな。それができている子が羨ましい。友達の結婚式にも招待されてみたいな。

道行く人を眺めると、おしゃれな子たちが笑いながら通っていく。すごく羨ましくなる。いいな。私って何でこうなっちゃったんだろ。何が悪かったんだろ。

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家に帰って駅で買ってきたパンを食べる。スーパーで大量に買える安売りの紅茶を淹れる。牛乳を少し入れたらミルクティーになる。
美味しい。別に高いものじゃなくてもいいんだ。高いものじゃないと満足できない人もいるみたいだけど、世の中には食べられない人もいるはずだから。

お腹が満たされると今度は別のことを考える。今後が不安だ。私は独りぼっちだ。彼氏できないな。結婚も出来なくて独りぼっちだな。親がいなくなったら、仕事は続けられるのかな。孤独死したらどうしよう。

不安が押し寄せてくる。ずっと消えない。
大丈夫。大丈夫。って震えている自分を抱きしめる。

明日からまた新しい戦争が始まる。
私は諦めない。