今年は激動の年だった気がする。
まだ10月。今年を締めくくるにはまだ早いと分かってはいるが、社会人になってこんなに色んなことがあった年は初めてだ。

付き合っていた彼氏と別れた。
異動になり、ずっと頑張ってきた仕事が全く新しい仕事に変わった。
そのせいで人間関係も大きく変わった。

……そしてこれが私の中で1番の変化。
私は劇団に入団した。

◎          ◎

小さい頃から演技をしてみたいという気持ちはあった。だけど、私は昔からドン臭くて人前で何かするとよく笑われた。だから、わたしなんか無理なんだと諦めてきた。

けれど今年、とんでもなく落ち込んだ時期があった。
色んなことを頑張って、それでも何もかもダメで。周りと比べて虚しくなって。こうまでして生きている意味なんてない気がした。泡のようにパッと消えてしまいたいと思った。

けれど不思議なことに「死んでやろう」と思った途端、心がふっと軽くなった。
なんかもうどうでもいいや。色んなこと考えるのやめちゃおう。どうせ死ぬんだったら、やりたいこと全部やって、それから死んだって遅くはないんじゃない?
失敗したって、どうせその後死ぬんだし、怖いもんないわ。
そう思ったら、なんだか自分は無敵な気がした。
なんでも出来る気がして、いつの間にかスマホでヒットした劇団に応募していた。

入団してからとにかく忙しい日々。
まだ役なんて貰えない。というか練習すらさせて貰えない。とにかく裏方、雑用に使いっ走り。そんな事ばかり。

仕事を何としても定時に終わらせて、その足で稽古場に向かう日々。
それでもそんな毎日がキラキラしていて。周りから見たら、さながらディレクターにこき使われるADのようだろう。

それでもずっと憧れてた世界に携われる自分、その世界の中にいる自分にワクワクした。
20代半ばでこんなにワクワク出来るものがまだあったんだと驚く。毎日に色がついたようだ。

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先日、大ベテランの役者さんから連絡が来た。今の公演が終わったら、研修生として稽古をつけて貰えるそうだ。
心がまた踊る。楽しみで仕方がない。来年には次の公演も待っている。次の公演ではどんな景色が見れるのだろう。欲を言えばステージに立っていたい。

新人のくせして、こんなこと言うなんて、生意気だし恥ずかしいけど、でももう私には怖いものなんてない。
人は死ぬ気になりゃなんでも出来ると言うけれど、その言葉の意味がわかった気がする。
というかあんなに辛くて死にたいと思ってたのに、今は自分が主役になって公演出来るまで絶対死にたくない。
1年ですごい変わりようだ。

今年もあと2ヶ月。稽古を頑張って、死ぬ気で食らいついて、次の公演では、今とはまた違う景色を見られるように。
時間なんて全然足りない。
だけどそれすら愛おしく感じるこの日々を全力で駆け抜けたいと思う。