私は人一倍、人の目を気にしてしまう性格だ。
街行く人の視線が気になったり、こっちを指さして笑っている人がいると、自分のことを嘲笑っているのではないかと気になってしまう。
自意識過剰だと言われたら、その通りだと思うのだが、思春期、特に高校生の時はクラスの女子のヒソヒソ話が気になり、クラスの男子に悪口言われているのではないかといつも気にしていた。
気にしているということを悟られないために、もし言われているとしても、聞こえてないですよということを伝えるためにツンと澄ましたキャラクターを演じていたのは、ここだけの話だ。
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自意識過剰繋がりで、仲間外れにされるのが怖いということもあり、大学を卒業するまでは部活やクラスの同窓会には必ず出席するようにしていた。
部活でのカーストは下の方であったし、クラスでは目立たない存在だったので、集まりに欠かせない存在ではないのは明らかだった。
むしろ、内輪だけで盛り上がりたいところに私が参加したせいで、周りに気を遣わせていたのではないかと、今になって心配している。
当時は、新しいコミュニティで疲れを感じているところで、笑いのツボの合う人達と楽しかった高校の思い出を語り合うと、楽しい時間を過ごせた。
しかし、部活の仲間の新しい彼氏の話であったり、高い時給のバイトをしている話を聞くと、彼氏もおらず、低賃金の飲食店でバイトをしている自分が惨めに思えた。
惨めな思いをするくらいだったら、次は参加したくないなと思うのだが、また次のお誘いが来ると性懲りも無く参加していた。
「葵衣は彼氏できた?」と若干哀れみを含んだ問いかけがいつも嫌だったのだが、彼氏を作るわけでもなく、いつも彼氏がいない状態で参加し続けた。
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就職で地元を離れるまでは、同窓会に参加し続けたのだが、さすがに平日や長期休みでない土日に開催される同窓会には参加ができなくなった。
社会人一年目の年には、近況報告も兼ねてほとんどの部活のメンバーが集まった。 どれだけ大変な仕事をしているかなど新しいコミュニティでの愚痴も多かった。
事務職の私は、誰もが羨ましがるような華やかな職に就いた同期たちが眩しくて仕方がなかった。
しばらくコロナの影響もあり、集まることができない期間が続いた。私も帰省をしていなくて、物理的に参加ができなかった。
最近久しぶりに集まろうという話が出てきた。 仕事のシフトの都合や、転勤によって参加ができないメンバーもちらほらいるが、過半数のメンバーが参加できるということになりなった。
私もノリが悪いと思われたくなくて、参加したいという気持ちでいたのだが、 少し冷静になって考える自分がいた。
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彼女たちは価値観を共有できる友達なのか。
私は仕事も変わっていないし、彼氏もいないままだ。
自分の仕事に誇りを持って働いているし、彼氏がいなくても充実した暮らしをしている。
しかし、それを胸を張って言えない、言えたとしても、強がっていると捉えられると思ってしまった。
「今回は仕事が忙しくて参加できない」と、思い切って返事した。
同期の役職に就いた話や、結婚が決まったという話を聞いて、モヤモヤしないわけがない。
今回の不参加は、自衛が目的なのかもしれないが、これは私にとっての門出だ。
このお断りがきっかけとなり、薄情に思われるかもしれないが、気の乗らない誘いには断腸の思いでお断りを入れるようにしている。
相手に悪いからと惰性で出かけたこともあるが、とても疲れてしまい、また相手の時間も奪ってしまってることに気づいたからだ。
これからは時間が有限なことを意識して、自分がどうしたいかに軸をおいていきたいと思う。