生きているだけで考えることが多すぎる。今日の献立といった日常のことから、日本の行く末のような遠くない未来、果てや自己の終わりについてまで。
スマホに触れば世の中の出来事が目に飛び込んでくる。そしてたいてい、悲しい気持ちになり、心が疲弊する。Twitterのトレンド、「炎上」、「子育て世代」、「辛いニュース」。この辺りは精神がごりごり削られる。なんて暗く、展望も見えない日本なのか。死まで細々と生きながらえるだけの想像に取り憑かれてしまう。

現実逃避も大切だ。完全に心が折れてしまう前に、自己を休ませよう。つらいことの塊であるインターネットから離れて、ささいなことを考えずにすむように何かをしよう。
スマホを手放す。すぐに持てない距離のコンセントに充電器を設置し、繋いでしまう。サイレントモードにして、画面を下に置く。
おやすみなさい、スマホさん。

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身軽になったので、コーヒーか紅茶を淹れる。手軽にパックのやつ。お気に入りのマグカップにお湯と一緒に突っ込んで、取り出さずにそのまま。砂糖やミルクは入れない。
気分によって、緑茶のときもある。リラックスできる香りに包まれて、最初の1杯は熱いうちに飲んでしまう。たびたび舌を火傷してしまうのだけど、胃の形にじんわりと温かさを感じるのが好きだから、どうにもやめられない。

マグカップにお湯を継ぎ足す。何も考えなくていいように、何をしようか。最近は図書館から借りてきた雑誌や本を読むことが多い。レシピやインテリアのジャンルは、つらいことを思い出さずにすむ。晩ごはんはこれを作ろう、とかちょっとしたことに時折頭を使うけど。まあ、些細な問題だ。家族のために作らなきゃと迫られるのではなく、いいなと思ったレシピを覚えるのは全く別物だから。

写真が豊富なページをぱらぱらめくる。気の向くまま文章を読む。何か特別な知識を得たり、がっつり勉強してインプットできる訳ではない。ぼんやりと眺めながら頭を楽にしていくだけ。でもたまに、今後の生活が少し豊かになる種を拾うことができる。無理をしない時間だ。

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1時間もすれば、手元の読み物が終わる。無心の時間。2杯目のお茶はマグカップに半分くらい残っていて、冷めている。これをひと息に飲み干しておしまい。さっさと洗い物をしてしまおう。
子どもがお昼寝をしているとき。もしくは寝かしつけで私も寝落ちしなかったとき。私のありきたりな休息は、そういうときに行われる。

そしてここから、少し意識することがある。せっかく頭が空っぽになったので、スマホはしばらく封印すること。子どもがまだ寝てるなら、一緒に寝てしまうのが良い。
例えば悲しいニュースをこのとき目にしてしまうと、なんだか普段の倍くらい心がつらくなってしまうので。

すり減る思考と心を、現実から逃避させるのがお休みタイム。毎日が本当に苦しいと感じている。悩みが尽きない。理不尽な世の中。それを少しの間忘れることで、また戻ってきても日々を戦えるようになるのだ。