私は今の仕事に興味があって入社したわけではなかった。しかし、今の会社の入社説明会で登壇していた社員の方たちが働くときに意識していることを聞いて、チームメンバーの一人ひとりにあったタスクの振り方を考えているのを知って、将来こういう人物になりたいと思った。
自分よがりの仕事をしないこと、人に応じた仕事を任せてフォローできる人物になること。
今の会社である必要は必ずしもないけれど、私にとって入社理由はそれで十分だった。
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私は昔から自分の意見を主張することや、人に何かを任せるということが、すごく苦手だ。高校生までは漠然と「リーダーとか人の上に立つような立場ってヤだな」くらいにしか思っていなかった。高校生までは、程度の差こそあれ、大人の言うことを聞いていれば「優等生」で快適に暮らせていたから。
だけど、大学生になってサークルの部長になったときに、改めて「あ、私、人の上に立つの向いてないな」と痛感した。私はとにかく、誰かに(特に後輩)に手伝ってもらうことができなくて一人で解決しようとしてしまった。結果的に、翌年部長を引き継いでくれた後輩に色々負担をかけることになったのだ。この経験は、私の人生での苦い経験の一つだった。
一人で作業することが誰にも迷惑かけずにいいと思っていたのに、結局ただの独りよがりだった。もっと近くにいる人を信頼すべきだったし、向き合うべきだったのに、それすらもしていなかった。
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今の会社は若手でも意見を言いやすいし、早くからチームリーダーになる機会が多く、仕事はこの苦い経験を克服するための実践演習みたいになっている。
まだまだ経験が浅くて、どう作業を進めるか私自身が見えていないこともあるので、チームメンバーに作業指示をするのに悩むことも多い。一緒にどう作業をしようか話しながら悩むときもあるけれど、それは年齢が近いチームリーダーの特権と開き直って、一緒に悩みながら勉強しながら進もうという考え方でいる。
また、正直出てきたアウトプットに指摘事項が多くて、ため息が出てしまうことも少なくない。それでも自分で直したい気持ちをグッとこらえて、修正してほしい内容を伝えて作業にならないように、彼/彼女はどう考えてそのアウトプットになったのか、私はどういうことを意識してアウトプットを作ってほしいかを伝えるようにしている。
単純に修正内容を箇条書きで伝えた方が私も指摘を受けた方も楽だろうな、と思うことも多い。だけど単純な作業に終わってしまって考えることもなくなるし、私の作業指示も悪かったのかも確認できない。
お互いの成長のため、と言い聞かせてお願いする幅を設けるようにできるようになったのは、ちょっとした私の進歩かもしれない。
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仕事との距離感を語るのに「ワーク・ライフ・バランス」という言葉があるが、他人行儀な感じがして私の中ではしっくりこない。「ワーク」も「ライフ」の一部でしかないのに、仕事とそれ以外の生活で切り離して対立するように考えるのは違和感があった。また、どこか仕事に比重を置くことを非難されているように感じる。
それよりも「ワーク・ライフ・インテグレーション」という言葉の方が、私にはしっくりくる気がする。仕事で経験したこと、仕事で感じたことや身についた考え方も私の一部。