SNSはファストフードのようだ。
いつだって始めることが可能な手軽さ。
いつだって誰かと繋がることができる身近さ。
私たちの日常に当たり前のように溶け込むそれは、非常に便利でそして非常に危険だ。
美味しいものは体に悪いと言うように、SNSにもいい面、悪い面が存在する。
そんなSNSの両面を感じた出来事をここに記そうと思う。

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7月中旬、高校時代の友人からSNSのDMで突如、結婚式の招待メッセージが届いた。
友人とは簡単に言えば単なるクラスメイトで、よく話したりはしていたがいつものメンバーというわけでも、部活が一緒だったわけでもなかった。
高校卒業後に会ったのは一回のみで、SNSで互いの投稿にたまにコメントするくらいの仲だったため、他に仲のいい友人として招待する人がいそうなのに、と少しだけ自分に招待が来たことに疑問を感じもした。
一方で、招待されたこと自体は嬉しかったし、素直に結婚も喜ばしい気持ちだったため、ありがたく招待を受けることにした。
そして友人がいつも一緒にいたメンバーも結婚式に参加するという話を聞き、久しぶりに高校の友人らに会えることを楽しみにしていた。

結婚式当日、参列すると聞いていた友人の1人に連絡をとり、結婚式の会場まで2人で行くことにした。その友人とも久しく会っていなかったが、結婚式場までの道のりの中、これまで会えなかった分の話や高校時代にはできなかった将来の話に花が咲き、それだけで十分楽しかった。

結婚式場にて花嫁の友人とゆっくり会話を交わせたのは、披露宴での写真撮影時。
「今日は呼んでくれてありがとうね!」
「こちらこそ来てくれてありがとう!誰を招待するってなった時に、睡蓮に会いたいなって思ったから招待させてもらったよ!」
「こちらこそ、こうしてまた会うことができて嬉しいよ!本当におめでとう!」
友人からの一言で思わず疑った自分を恥じ、改めて心から彼女の結婚を祝った。

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高校時代、多くの友人に囲まれていた彼女が、大事な結婚式に呼んでくれるきっかけは、きっと卒業後も続いたSNSでのやりとりだったのかもしれない。
こうして彼女を通して多くの人間と再会そして出会えたことをとても嬉しく思えたし、SNSが友情を繋げてくれたことに感謝した。

そんな幸せいっぱいの結婚式だったが、一つだけ残念なことがあった。
それは花嫁の彼女が当初、参列すると教えてくれていた友人の1人が不在だったこと。
会場まで共にした友人に参列の有無を聞いても知らないとのことだったので、きっと1人で会場に来ていると思いきや不在だったことに驚いた。
もしかしたら仕事の都合がつかなかったのかもしれないと思い、会えなかったことに対して純粋に残念な気持ちでいたのだが、事件は披露宴後に起きた。

なんと、不在の彼女がSNSにて、他の友人と居酒屋でお酒を飲んでいる写真をアップロードしていたのだ。
SNSで繋がっていた彼女の動向を参列した友人らに見せると、一同はドン引き。
よりにもよって、仲の良かった友人の結婚式の日に上げるにはあまりにも非常識だと感じた。写真を見た友人らも、不在だった彼女との付き合い方を改めると言っており、今後の風当たりが強くなるのは火を見るより明らかだった。

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私自身、その投稿に対し非常識だと思ったと同時に花嫁の友人の気持ちを考えると怒りさえ湧き上がった。
一生に一度しかないであろう友人の結婚式の参列を断り飲みにいく投稿をしているあたり、おそらく彼女は結婚式の日程なぞ忘れているのだ。
それまでその友人のことは好きだったし、SNSで頻繁に連絡を取り合っていたのだが、そのことがきっかけで友人に対する拒絶反応が出始め、メッセージのやり取りも極端に少なくなっていった。

SNSで繋がる友情もあれば、切れる友情もある。
そんなことを痛烈に感じさせられた出来事だった。
身近で、手軽で、誰とでも繋がり世界を広げることができるSNS。
だからこそ、自分自身が及ぼす影響や、自分に降り注ぐ影響というものを自分で管理し把握する必要があると感じた出来事だった。