「クリスマスって、必ずしも誰かと過ごさなくてはいけないのだろうか?」
そんなことをふと思った時、私の隣には既に誰もいなかった。
私の冷えた手を温めてくれるような優しい彼も、一緒に飲み歩いていた女友達も、昔からつるんでいる地元のメンツも、みんな近くにはもういなかった。

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27歳、彼氏いない歴5年ほど。
周りの女友達はみんな結婚し、子どももいる。地元のメンツも似たような感じで、パートナーと暮らしている割合が圧倒的に多かった。
そんな中で私は今年誰と過ごすのか、いや、そもそも誰かと過ごさなければいけないのか?そんな疑問が湧いてきたと同時に、今まで1人で過ごしたクリスマスはあっただろうか?ということを考えてみた。

思い返してみると、意外と毎年誰かしらと過ごしていたようだ。
幼少期は家族、思春期になっていくにつれて友達と過ごすようになり、彼氏ができれば2人で過ごした。彼氏がいなかった期間は職場のメンバーと共に「クリぼっち会」なんてものを開催して賑やかな会を楽しみ、職場が変わった今、周りは既婚者だらけになっていた。
そこで思い出した。唯一、去年のクリスマスは1人で過ごしたということを。

理由はシンプルで、フラれたのだ。もっと言うと、片思いしている相手と過ごすはずだったのだが、向こうが他の女からもクリスマスを誘われ、予定のやり取りをしているうちに「誰かと過ごすのが面倒になったから」という理由で断られたのだ。それも当日に。
その時の私の絶望は計り知れないもので、「なんで?」と自問自答するしかなかった。悲しさもあったが、相手への怒りももちろん湧いてきたため、好きな気持ちは一気に急降下。1人でひたすらハイボールを飲み、一緒に食べようと思って買っておいたケーキをカロリー気にせずヤケ食いするという、私のクリスマスの思い出史上、ダントツで最悪のエピソードとなった。

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あんなにショックだったのに、1年もすれば意外とあっさり忘れるものなのか、と少し笑ってしまった。忘れていたことを「思い出」と呼んでいいかはわからないが。
とにかく、1人で過ごしたクリスマスがあったからこそ、「誰かと過ごすクリスマス」は絶対ではないのだと確信した。
去年のようにドタキャンされて「突然のクリぼっち」も十分あり得るということを学んだ私。あまり良くない意味で逞しくなってしまった。もう少し可愛げのある女だったら、あの人も一緒にクリスマスを過ごしてくれたのだろうか、なんてことも考えたが、それは断じて無いと今の私なら言える。

今年はイヴが土曜日、クリスマスが日曜日という、その日が休みの恋人たちや家族ににとっては最高のスケジュールになるのだろう。今年はチキンとケーキとシャンパンのボトルを買って、1人でクリスマスを楽しむのいいかも。
まぁ、それまでに恋が実を結ぶことを、サンタさんにお願いするのもアリかもしれない、なんてね。