ずっと友達でいられると思っていた。
何がきっかけで仲良くなったかは忘れてしまったけど、高校時代とても仲が良かったT。
おしゃれでユーモアがあって同性から好かれるタイプの女の子。
私は彼女と友達になれたことが嬉しかった。
高校を卒業した後も、年に1回くらいはいつめん4人で集まって進学先や家族のこと、彼氏のことについて話していた。
一緒にいて楽しい、自慢の友達だった。

そんな彼女と連絡が取れなくなって1年半。
「人生のハレの日」をむやみに使ってしまったことを、私は後悔している。

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彼にプロポーズされ舞い上がっていた私は、式の日付が決まってすぐにグループラインで報告をした。
「おめでとう!参列するね!」
人生で一度きりの結婚式。
高校時代の友達に囲まれて写真を撮る自分。
間違いなくあの時が一番幸せだった。
その後、新型コロナウイルスの感染拡大で式は延期、それでもみんな来てくれると信じていた。
「今の状態だと判断できないと思うから、招待状の返信だけお願いします。」
そうラインはしたけど既読がつくのみで、そのグループラインでは誰からも返事が来なかった。

でもきっと来てくれる。
あんなに仲良かったし、逆の立場だったら絶対行くし。
しばらくしてTから出欠葉書が届いた時、私はショックのあまり主人にもう一度式を延期したいと泣いてすがった。
欠席に〇がついた返信、おめでとうの一言もなく、「幸せな家庭を作ってね」のメッセージ。
「医療従事者だから」みたいな納得できる理由もない、冷たい返事。
ここで潔くあきらめれば、まだ友達でいられたのかもしれない。

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どうして欠席なんだろう。
もしかしたらコロナで生活が厳しいのかもしれない。
ならご祝儀を頂かない方法ならいいのではないか。
「〇〇ちゃんに式中サプライズをしたいんだけど、手伝ってもらえないかな?」
どうしても彼女に参列してほしかった私は、グループで唯一参列してくれる友人のためにもこんな内容のラインを彼女に送っていた。
結婚式に参列するのが何らかの理由で厳しいだけで、協力するのが嫌なわけじゃないはず。
○○ちゃんとTと3人でテレビ通話がしたい。
私が考えていたサプライズはこうだった。
ウェディングハイになっていたんだと思う。

結局ラインに既読はつくことはなく、参列した友人がグループラインに送ったメッセージや動画も無視。
参列するのが嫌なんじゃなくて、私と関わるのが嫌だったんだ。
人生で一度きりの結婚式で、私と彼女の関係は終わってしまった。

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「合わないと感じたら縁を切りましょう!」
人間関係の本やネット記事にはこんな言葉があふれている。
その通りだと思う。
私だって合わない人に自分の時間を費やすより、家族や友人と楽しい時間を過ごしたい。
でも切り捨てられた側はどう感じるか、今回の件で私は強烈に学んだ。
彼女に対して怒りを感じた日もあった。
もし彼女から結婚式へ招待されても無視してやろうと思ったこともあった。
でもその度に一緒に過ごした高校時代がよみがえり、後悔が上回った。
あの後、彼女に謝罪のラインを入れたけど、きっとブロックされたんだろう。
1年半たった今でも返信は来ない。
悲しくて辛くて、私も彼女の連絡先を消してしまった。
あんなによくしてくれたのに、私はわがままばかりだった。
ガラケーで撮った写真やプリクラを見返す。
あの時追い打ちのようにメッセージを送らなければ、まだ友達でいられたのかな。
結局結婚式も、いい思い出にはできなかったよ。
T、ごめんね。
結婚式を思い出すたびに、私は彼女へ伝わることのない謝罪を繰り返している。