10年前、同じ大学の寮で出会った心友。私がどんなにボロボロな時でも、どんなに調子を乗っている時でも私を包み込んで、そっと優しく手を差し伸べてくれる。

そんな心友には感謝してもしきれない思い出がたくさんある。そんな心友と3年前の夏に再会することが出来た。
私と心友は東北と静岡という距離で遠く離れて暮らしており、タイミングよく会うことは難しかったから心友と会えることが嬉しくて仕方がなかった。

心友からの嬉しい報告。彼女はいつも私のことを幸せにしてくれる

「きのう彼にプロポーズされたの。私、結婚するよ」

再会して、まもなく、心友から聞かされた嬉しい報告だった。そして誰よりも早く私に伝えてくれたことが更に心友の幸せに、どっぷりと浸らせてくれた。
目的地までの電車の中で、私達は人目も気にせずに恋バナをした。私も、再会する前日に当時の彼と付き合うことになっていたから舞い上がって、心友に彼氏が出来たことを誰よりも早くに報告した。

心友も自分のことのように、屈託のない笑顔いっぱいに喜んでくれた。
1日都会のど真ん中で、観光しながら、カフェでお茶しながら、ショッピングしながら、暑い夏のなかを二人でおもいっきり楽しんだ。 

「今度ね、彼のご両親と食事なの」
嬉しそうに教えてくれて、都会のお洒落な靴屋さんで白いローヒールパンプスを選んでいた。ただただ、しあわせいっぱいなオーラをめいっぱい漂わせる心友が嬉しそうで、見ているだけで笑顔にさせてくれた。

帰りの長距離バスを待つ間、二人でアイスを食べた。あまりに美味しくて自然と笑みが溢れてしまった。ふいに心友が写真を撮っていたが、私は何故かさほど気にせずに黙々と食べて、心友とのあっという間の1日を振り返っていた。後日送られてきた写真には、私の屈託のない満面の笑顔が映し出されていた。
わたしの貴重な一瞬を切り取ってくれたことが、更に私を幸せにしてくれた。

心友に起きた悲しい出来事。心配でたまらなかった私は何度もメールした

不思議だった。人との付き合い方が不器用だった私は写真を撮られることが苦手だったのだ。
本来なら撮られることを嫌がり、冗談でも「やめてよ!」なんて言っていたと思う。でも、そうならなかったのは完全に心友に心を開いていて、絶対的な信頼をしているからだと気付いた。ごく自然に撮られたのだから、やられたなとも思った。

帰り際、心友のために書いてきた手紙を渡した。心友は嬉しさと驚きのあまり号泣するほど喜んでくれた。いつも救われているのだから、私は感謝してもしきれないくらいの御礼を伝えたくて手紙に込めた。その想いが伝わったのか、泣きながらも何故か笑っていた。

そして再会から半年後、結婚式への招待状が届いた。私は迷うことなく出席と返事をして、結婚式に着ていくコーディネートを考え始めた。幸せいっぱいの心友の姿が目に浮かび、無事に結婚式が出来ますようにと願っていた。

しかし、その数カ月後、悲しいニュースが舞い込む。
心友のお父さんの、突然の永遠の別れ。それでも、生前の父も楽しみにしてた結婚式をしたい。出席予定の方々にも御理解頂きたいと、しっかりと伝えてくれた。

半年前の心友の幸せそうな笑顔が胸に突き刺さり、いたたまれなくなった。大切な人を亡くし悲しい気持ちを押し殺して、それでも父の想いを大切にしたい。家族想いで、友達想いで、人との絆を大切にする心友だからこその決断に反対する理由なんて見つからなかった。
私も十年前に大切な祖父を亡くしていたから、痛いほど気持ちが分かっていた。心配でたまらず、結婚式までの間、何度かメールをさせてもらった。無事に結婚式が執り行われますようにと、ますます願っていた。

結婚式でみた心友の姿は私の苦しさなんて一瞬で打ち消してくれた

その2ヶ月後に結婚式に参列させて頂いた。でも当時の私は心身ともにボロボロで磨り減っており、こんな状態で心友の結婚式に行ってもいいのかどうかすら半信半疑だった。ギリギリまで出席するかどうかの判断すら危うかった。

それでも心友に心配かけたくなくて、必死で隠した。ギリギリの精神状態のなか、無事に結婚式まで自分の体力が持ちますようにと祈るような気持ちで夜行バスに乗り込んだ。

そして出発前に、「結婚式へ招待してくれて、ありがとう」とメールした。
その返事には、私の心配事なんて何処へやら心友からのとびっきり前向きで優しくて暖かい言葉で溢れていた。

ちっぽけな私の苦しさを一瞬で打ち消してくれるような、その言葉の数々にボロボロだった私をも元気にしてくれた。一瞬で魔法にかけられたみたいだった。
翌日には心友の大切な結婚式へ参列させて頂ける喜びに心を踊らせ、ぐっすりと眠ることが出来た。

結婚式では同じく寮生活をしていた友達も参列しており、同じ大学の同級生も何人かいて緊張しながらも楽しむことが出来た。随所で心友らしさ全開のアットホームな結婚式で、リラックスすることが出来た。

新婦のお父様のいない結婚式ということで、参列者それぞれに号泣しっぱなしでもあった。それでも、心友は気丈で明るくて、ずっと笑顔だった。空いた時間で私のことをお母様や旦那さんに紹介してくれた。心友はほんとに、どこまでも優しくて元気で逞しい。そう思わされた瞬間だった。

そのあとビックサプライズで、妊娠中で臨月だということも明らかになり、ますます心友の強さに度肝を抜かれた。
今では母としても益々魅力が増している。

「出会ってくれてありがとう」愛すべき優しい心友に伝えたいこと

今でも私たちのメールの最後には、「わたしと出会ってくれて、ありがとう。」
いつもその言葉が飛び交っている。

いつも人を惹きつけ、そっと気持ちに寄り添ってくれる。いつも暖かく包み込んでくれる、そんな愛すべき優しい心友。いつも笑顔で元気いっぱいな心友は、たくさんの人たちに囲まれている。
そんな心友に出会えたことは、いくら感謝してもしきれないほどの喜びだ。