わたしは以前好きだった人の元カノと、その元カノの旦那さんとSNSで繋がっていた。
すごく不思議な関係だと思うし、会ったこともないけれど、わたしは2人が大好きだった。

最初に繋がったのは、元カノの方。
彼のスマホから彼女に電話をかけた。
彼が元カノとわたしに関するやり取りをしているのは知っていて、彼女もわたしに対してそんなに悪い印象は持っていなかったと思う。
歴代元カノの話を聞く中で、わたしは彼女だけ突出して好きだった。
なぜかと問われたら困るのだが、なんとなくわたしが好きなにおいがした。
電話をかけて楽しく話してから、たまに彼のスマホから連絡していたけれど、彼と関係を断つことをきっかけに、彼女のLINEを教えてもらった。

最初、彼女と盛り上がったのは、彼があまりにも酷い嘘を吐いていたことについてだった。
彼女と付き合っていた頃にあった出来事について、彼からかなり詳細まで聞いていたけれど、彼女から同じ出来事について話を聞くと、彼から聞いた話と全然違う。
どちらを信じるか迷うところだが、彼女から聞いた話を彼にとって都合よく捻じ曲げるとたいていの話がうまくハマったので、まず間違いなく嘘を吐いていたのは彼だと思う。
その嘘の数は1つや2つではなく、数えきれないほどあり、びっくりするぐらいネタに事欠かなかった。

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そんな彼女とわたしは1回りほど年が離れていて、彼女は結婚していた。
彼女からは、日常の話、仕事の話、結婚生活の話、性の話、旦那さんの話などを聞いていた。
彼女の悩みは、ほとんど女性特有のものだと感じた。

そして、話を聞くにつれて、旦那さんにはわたしと同じ空気を感じた。
わたしと同じ発達障害の特徴を顕著に。
「きっと、旦那さんはこういう風に受け取っていると思う」と細々伝えていたが、あくまでそれは憶測にすぎない。
旦那さんからも話を聞きたいなと思っていた折、彼女から「旦那と話してみてほしい」と申し入れを受けた。
そう思ったきっかけは、最近旦那さんがわたしと同じ発達障害の診断を受けたことのようだった。
彼と彼女のように、2人から話を聞くと、一方が嘘をついていたり、同じ出来事でも受け取り方が異なることもある。
これはチャンスと思って、旦那さんとも話をすることになった。

話を聞くと、旦那さんから初めて聞くこともいくつかあった。
人は都合の悪いことは言わないものなんだなと改めて思った。
だけど、たいていの出来事について2人は同じように話した。
受け取り方に違いがあるだけだった。

この「受け取り方」というのが非常に難しくて、特に発達障害者と非発達障害者で理解し合うのは困難だ。
非発達には発達が理解できないし、逆も然り。
非発達でも乙女心が理解できる男は奇特で、発達にそこまで求めるのは酷な話だと思う。
同じ発達障害者同士のわたしは彼とはびっくりするぐらい分かり合え、彼からは「こんなに分かってくれる人は初めて」だと言われた。

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2人とも、互いに相手が「なぜそんなことをするのか、言うのかがわからない」と言う。
だからわたしは、「あなたの言動を、こういう風に受け取っているから、相手はこういう言動をしたんだよ」と、2人の疑問を紐解いた。

本当はそれをお互いに直接言い合えるのが一番いい。
けれど2人ともそれを嫌がるから、わたしが代弁した。
誤解を解いて、思いを伝える補助をすることがわたしの役割だった。
大好きな2人がそれでうまくいけば良いと思っていた。

同じ出来事が起こっても、受け取り方は人それぞれだから、すれ違いが生まれてしまう。
そのすれ違いを埋め合う作業ができるか否かが、関係性を築く上で大切だと心底感じた。

「発達障害でよかった」なんて、感じたことは一度もない。
けれどふと、こんな風に役に立つこともあるんだなと思った。