20歳の冬。
恋人のいないクリスマスがやってくる。
ひとりぼっちのクリスマスは、実に4年ぶり。
大通りの針葉樹には、色とりどりの電飾が取り付けられ、いつしか街もすっかりクリスマス気分で。

毎年この頃は、クリスマスは何をしよう、クリスマスプレゼントは何をあげよう、なんて相手のことばかり考えて、街の変化に気づく余裕もなかったけど、それはそれで楽しかった。
誰かのために一生懸命頑張る自分はすっごく可愛かったし、恋人と過ごすクリスマスだってちゃんと楽しかったよ。

でもなぜか、それが無い今年はどこか心に余裕があって。
世間一般的に、「クリスマスにひとりぼっちは寂しい」なんてことをよく耳にする。
けれども今の私にとっては、空が高くなったこと、いつの間にか日が短くなったこと、空気が澄んで夜空が綺麗に見えること、そんな小さなことに喜べる自分が好き。

きっといつか現れるはずだから、私だけのサンタさん。
絵本の世界から飛び出して来てね、いい子で待ってるから。