毎年クリスマスが来るたびに思うことがある。
「なぜクリスマスは恋人と過ごすことが大前提になってんの?」
別に一人で過ごしてもいいじゃん。恋人だっていなくてもいいじゃん。なんでもいいじゃん。
でも、クリスマスに一人でいると「クリスマスなのに一人なんだ……」って顔をされるのは何なん?あの圧は何なん?かわいそうなものを見るようなあの目は何なん?……と思ったことがある人もいるはず。
私は居酒屋でそんなことを熱弁している友達を見て、「そういうものなのかなぁ……」とスルメをかじりながら思っていた。この言葉のインパクトが凄すぎて、クリスマスが近づくたびに思い出してしまう。
友達はクリスマスというよくわからないイベントにもみくちゃにされた一人なのかもしれない。

◎          ◎

確かに恋人がいない私にとってはクリスマスなんてただの平日(もしくは休日)にしか過ぎないし、はっきり言ってどうでもいい。
きっとクリスマスに寝ている年もあるだろうし、友達と飲み会をしていることもあるかもしれないし。
「クリスマス=大切な誰かと過ごす日」という考え方を持ったことはない。家族と祝おうとも思わない。私にとってクリスマスは本当にどうでもいい日なのだ。
大切な人がいる人たちにとってはそうでもないのかもしれないけれど。

だから去年も私のクリスマスは代わり映えのない日だった。
おいしいものを食べるというわけでもなく、友達と過ごすというわけでもなく。
いつも通りに塾のアルバイトへ行って、淡々と授業をしていた。

私が担当していた生徒は中学三年生だった。受験が間近に迫っていることを痛感しているのか、どこか緊張しているように教室内はピリピリしていた。初めて受験を経験する子もいるので、みんなこの時期になると不安そうな顔をしている。
「世間はクリスマスで盛り上がっているのに勉強している私たちって何なんだろう……」という生徒たちのコメントに「クリスマスが特別だと感じるのは人それぞれだよ」と私は答える。
「これだけ頑張っていれば、来年良いことがあるかもしれないね!」と生徒たちを励ましながら授業を進めていた。

◎          ◎

でもやはり受験前といってもクリスマスは生徒たちにとっても大切な日であるようで、自習をしている子たちはがそわそわしている。ピリピリとそわそわが混ざりあった奇妙な空間だった。
家に帰ったら生徒たちにはプレゼントが用意されているのだろうか。
おいしい夕食も準備されているのだろうか。
塾が終わった後でも楽しい日を過ごせるだろうか。

今年も去年と変わらないクリスマスがやってくるのだろう。
今のところ、誰かとどこかに行く予定もない。
もしかしたら誰かに誘われたらどこかに行くかもしれない。イルミネーションを見に行ったり、ちょっとした観光地へ訪れたり……クリスマスプレゼントを交換することもあるだろう。
でも自分からどこかに行きたいとは思わない。私は「私のクリスマス」をいつも通り過ごすだけ。
こんなクリスマスの過ごし方でも充実していると私は思う。