クリスマスが少し特別だったのは、10年以上前の話だ。クリスマスは歳を重ねれば重ねるほどなんでもない普通の日でしかない。終いには社会人になったため、ただの通常出勤日となり、去年(2020年)は仕事をしていた。
確かに昔はサンタクロースを信じていた気がするし、毎年プレゼントが楽しみだった。一番記憶に残っているプレゼントは、ぬいぐるみである。本当は喋るぬいぐるみが欲しかったのだが、喋らないぬいぐるみが置いてあり子供の頃の私はブチ切れた。

サンタクロースを信じなくなってもプレゼントを貰っていた小学生の私

今思うとこの頃から人に何かを正確に伝えるという技術が欠如しており、ダメ社会人となる片鱗が見えていて、どうやらそのまま成長してしまったようだ。現在大人になりきれない大人である一方で、子供の頃は子供でありつつも物事に達観している面もあった。

そのため、学校でサンタクロースはいないと聞いた時は「へぇ、そうなんだ」くらいにしか思わず、特段ショックを受けなかった。そもそもクリスマスと誕生日が近かったのでプレゼントは年に一回クリスマスの日だけだったので、なんとなく違和感を持っていたのかもしれない。そして、信じなくなってからも小学生の頃は親からプレゼントを貰っていた。

一番嬉しかったのは、当時流行していたどうぶつの森のDSカセットだったと思う。ただ、小学校高学年から段々物欲がなくなり、中学生になるとプレゼントをお願いしなくなった。そして高校受験を控えたクリスマスに、頼んでもいない「そんな名前のゲーム初耳なんだけど……」というようなDSカセットを母にも相談せずに父が勝手に買ってきた。

欲しかったものをサプライズでプレゼントしてくれるならわかるけれど、謎プレゼントを渡され物欲少なめの当時の私でさえ「せっかく何かくれるなら聞いてほしかった」と思った。
父は仕事に対して真面目だが、家族とはいえ報連相をしない辺りから、微妙に醸し出される出世しない社会人のDNAを感じる。

クリスマスがプレゼントを貰う日ではなくなっていた高校・大学時代

高校生の時はクリスマスはプレゼントを貰う日でもなくなっていたので、もはや特別な日ではなくなっていたわけであるが、一応部活に所属していたので多くの吹奏楽部がやるであろうクリスマスコンサートを学校の内部で行っていた。

クリスマス定番の曲をメドレーで演奏するので曲名に少し詳しくなる。クリスマスパーティやデートとは縁遠い私にとって、もしかすると打楽器でスレイベル、要は鈴を鳴らしていた時が一番クリスマスらしいことをしていた時期かもしれない。また、部活でプレゼント交換をしたような気がするが、何を渡し何を貰ったか全く覚えていない。

大学生の頃はクリスマスに対してなんの感情も持っていなかったが、一度だけ滅多に行かなかったサークルのプレゼント交換に図書カードを持って参加した。よくわからない熊の置物が当たり、「駄菓子でもいいからお菓子の方がまだ良かったな……」と思ったのでそれ以来参加しなかった。

今年のクリスマスは土曜日。いつも通りの休日を過ごそう

そもそも金券をプレゼントとして持っていくような人間に、プレゼント交換を楽しむ心があるとは言い難く、あまり向いていなかった気がする。なんだかんだでその熊の置物は今も窓際にいるが、似たようなものはもういらない。欲しいものは自分で選んで買うのが一番効率が良い。

さて、今年のクリスマスは土曜日で仕事はない。休みだからといって一緒に過ごす友達や彼氏がいるわけもなく、エッセイになるような素敵エピソードが生まれる気もしない。

最近、迷った挙句、保険料控除にもなるし……ということで渋々学生時代の年金の一括追納という大きい買い物をしたので、自分で自分にプレゼントを買う予定もない。だから、今年は町のクリスマス飾りやツリーを見てキラキラした雰囲気を感じつつ、いつも通りの休日を過ごそうと思う。