SNSでのつながりをイメージした時、以前は“友人や知り合いとつながるもの“という印象がありました。Facebookでは身近な人の近況を投稿で知ったり、Instagramでは日常の写真を何気なく載せていました。

振り返ってみると、最近は“世界の誰かとつながるもの“として、見知らぬ人とつながるツールとしても使うようになっていました。
私は数年前から、各種SNSでイラストを投稿していますが、つながりがあるのは絵描きさんだけではなく、国籍も海外の方まで幅広く、もちろん対面で会ったことがない人ばかりです。

◎          ◎

元から顔見知りの人、また、新たに世界の誰かともつながれるSNSでのエピソードを、2つご紹介します。

私は昨年たくさん悩み、何かを選ぶ代わりに、新卒で働いた職場を辞め、6年間過ごした土地を離れました。決して、職場や馴染みある土地に非はなく、むしろ自慢するくらい素敵な環境、人たちで、どの時間も思い出も、全部が宝物でした。
環境を変えた新しい職場での新生活では、予想をはるかに超えて苦戦していました。挑戦に苦労はつきものとわかっていても、ハードな業務に慣れず、人間関係も上手くいかず、ついには心身の調子を崩してしまいました。
希望する業種で働いているはずなのに、全然楽しくない、役に立てていないどころか、問題も起こしているし、迷惑までかけてしまっている。自分はこの職場にいるべきではないのではないか、と悩み苦しんでいました。

そんな時に助けられたのが、前の職場の人の存在です。
前の職場の人たちが大好きで、仕事場は私の居場所の一つでした。退職後にSNSでつながり、変わらずに元気そうな様子を伺えたり、メッセージで「無理しないでください」「会いに行きます!」と言ってくれて、心が折れていた私は、とても救われました。

以前のように日々顔を合わせることがなくとも、つながりがそこで途切れることなく、むしろいつでも心の拠り所があり、側に存在を感じられるのはSNSの強みだと思います。

◎          ◎

元からの関係性がある人とつながることはもちろん、顔も知らずに、趣味や何かをきっかけに、誰かとつながることもたくさんあります。

とある人はイラスト依頼をいただいたことをきっかけに、知り合いました。会ったことも話したこともない方だったので、制作にあたり、相手のSNSを覗いてみました。言葉で寄り添ってくれるような人で、気が付いたら、その人の表現やなんだか刺さってくる文章に、没頭していました。

ある日、自分が人生について悩んだ時に、ふと思い浮かんだのが、その人の存在でした。「あの人ならどう考えるのかな」と唐突に思ったのは、プライベートや仕事で築いた信頼関係ではなく、純粋に魅かれていたからだと思います。

別日には、その方とご飯に行く機会がありました。近くに住んでいるわけでもなく、顔も合わせたことも声を聞いたこともない人とネットでつながり、SNSをきっかけに目の前で同じ時間を過ごしている、というのは現代のSNSの使い方として、良さの一つかもしれません。

初対面にも関わらず、以前からの知り合いのように、たくさんお話ししました。そして今でも、SNSでの彼の言葉や反応を、密かに楽しみにしています。たとえ会ったことがなくても、顔を知らなくても、SNSが素敵な出会いのきっかけになると多々感じています。

◎          ◎

どうしようもなく辛い時に励ましをくれたのは、遠くに住んでいる前の職場の人たちからのメッセージであり、悩んだ時にふと相談しようと思い浮かんだのは、顔知らずの人の存在でした。
そんなSNSでのつながりをこれからも大切にしていきたいと思います。