推し活にSNSを活用する人は多いのではないだろうか。私もそのひとりである。ただし、私の場合、「珍しいね」と周囲から言われることが多い。
それには理由がある。推しと推す私の間には世代のギャップがあるからだ。
1994年生まれの28歳。私の推しは光GENJI
私は1994年生まれの28歳だが、私が推している光GENJIは1994年に「光GENJI Super5」として生まれ変わり、その「Super5」は1995年に解散している。だから私の推し活は、リアルタイムで追っかけをするようなものではなく、メンバーそれぞれの現在の動向を確認しつつ、メインは過去の映像をいかに振り返るかというスタイルだ。
もちろん周囲の友だちの間で流行しているわけでもない。これが、私の推し活アカウントが周囲から珍しがられる理由である。
光GENJIを推し始めたばかりのころは、専用のSNSアカウントは持っていなかった。いわゆるリア垢でメンバーの現在のSNSアカウントをフォローしたり、古書店で過去の掲載雑誌を購入し、一人で眺めたりすることで満足感を得ていた。
しかし、続けているうちにだんだんとファン同士で交流して推しについて語り合いたいと思うようになり、推し活アカウントを作成した。
先輩ファンとのSNS交流で見えてきた、私の得意なスタイル
ひとたびSNSの世界に入ると、光GENJI世代ではないけれど、光GENJIを推している人は意外にもたくさんいるものだ。
私の様に、活動終了後にファンになった人は「後追い」と呼ばれる。もちろん後追いだけでなく、光GENJIとともに青春時代をすごした人がSNSで多く活動している。メンバーがジュニアのころから推していたという「古参」や一世を風靡する姿に心惹かれた人など、さまざまな背景で光GENJIを推すようになった人々が、各々プライドをもって推し活をしている印象だ。
推し活アカウントを作成した私は、他の後追いの人々と語り合いつつ、光GENJI世代の先輩ファンから情報をもらえたらいいなという気持ちで交流を始めた。しかし意外にも、私は先輩ファンとの交流がメインになっていく。
「私は話すより聞くほうが好き」このことは、推し活アカウントでの交流を通じてやっとわかった私のスタイルだ。
後追い同士の交流では、情報提供者がいるわけではないので、リアクションだけでなく自分から定期的に感想を発信しないことには交流が生まれない。これは私にとってあまり得意なことではなく、「私ではコミュニティを盛り上げられない」とファンとしての自信を失いそうだった。
そんなとき、私は先輩ファンに救われた。思い出話として聞かせていただくテレビやコンサートでのエピソードすべてが私にとって新鮮で、もっと聞かせてほしいと自らアクションを起こすことができた。
そんな私に「喜んで」とたくさんの話を聞かせていただく経験から、私自身、もしかしたら話を聞くことのほうが好きで得意なのではないかと感じ、SNSの世界を超えた自信につながったのだ。
SNSで経験した、日常をきっかけに自分を知るという成功体験
その後の私は、先輩ファンからお話を伺う推し活を続けている。
お話の中には光GENJIとは関係ない、プライベートの愚痴なども含まれるが、ファンが推しから元気をもらう姿を目の当たりにできるのも楽しみの一つになっている。
後追いとの交流もマイペースに行えるようになった。自ら感想を発信するのが得意ではない後追いはもちろん私だけではなく、ゆったりとしたペースで語り合える仲間を見つけることができたのだ。
現在、私にとって推し活は、推しの姿に癒されるだけのものではなく、SNSでファン同士交流することを含めたものになっている。日常のとりとめのないことをきっかけに自分のことを知る経験は誰にでもあるのでは?私はSNS上でその成功体験をした。
推しという大好きなものを目の前にしているから、自分が一番素直になれるのかもしれない。これからもこの空間で、本当の自分に出会い続けたい。