突然、女であることが嫌になる。
細い手首、低い背、大きな胸、自分自身を象る女らしい特徴が突然、嫌になる。
男に、頭の上から、つま先まで舐めるように見られて、どろどろとした目線で見られて、そんなとき自分が嫌になる。

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わたしは、女である前に1人の人間だ。
わたしの中身は、女らしさなど無く、女らしいスキルなど無いのに、見た目だけで「女の子」という型に嵌められてしまう。
わたしは、わたしなのに、わたしの入れ物のせいで本当の自分を見てもらえないみたい。みんな、私ではなく私の性別しか見てない。女として消費されて終わりなのかもしれないと悲しくなる。
けれど、その一方で、女としてみられないことへも恐怖がある。
わたしが、女の子らしい見た目じゃなかった頃。黒くて、太っていたとき、男たちはわたしを冷たい目で見てきた。冷たい目で接してきた。女なのに、消費できるレベルの女ではないと判断され、まるでゴミのように扱われる感覚は地獄だった。自分が、擦り切れていくのを感じた。
女として見られ、性的対象として見られること。女として見られず、性的対象にはならないと判断されること。そのどちらの苦しみもわたしが女だから起きることだ。そう考えると余計に、女であることが疎ましく、苦しくなる。
わたしは、これからどうしたいのだろう?どのように生きたらいいのだろう?
女として見られるのも怖い、女として価値が低いものとして見られるのも辛い。それってわがままなのかな?

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最近、職場の男の子に告白された。
わたしは、彼に優しくされるのが、うれしい。あったかいと感じる。その一方で、彼に恋愛対象として、性的対象として見られるのが苦しくなる。
わたしの声が好きという言葉、身長が低い子が好きだというエピソード、かわいいという言葉。それらひとつひとつは、わたしが女であるからこそのもので……。
彼は、別にヤリモクとかじゃなくて、ちゃんと内面も見てくれて、優しくしてくれるのに。なのに、彼がわたしのことをほめてくれる度に、彼は、わたしではなくわたしの「女」が好きなんだと悲しくなるのはなぜだろう。

わたしは、女である。それは、認めざるを得ないこと。それなのに、自分の女のことを求められただけで「あー、彼もわたしの女が好きなんだ」「わたしの中身なんて興味がないんだ」と歪んだ気持ちになるのはなぜだろう。
わたしの中で、女であることへの嫌悪感はあまりにも強く異常だ。わたしは、もう24歳で、そういう自分の第二次性徴ぐらい受け入れなきゃいけない時期なのに、なんでこんな基本に苦しんでしまうんだろう。なんで、周りの女の子みたいに軽やかに性を纏うことができないんだろう。なんで、性というものにこんな苦しみを感じなきゃいけないんだろう。
本当は、分かってる。きっと、その原因にはあの体験があることを。

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14歳の頃、おばあちゃん家で寝てたら1個下のいとこに突然、胸をなめられた。
お尻をなめられたこと。そっと指を入れられたこと。それに、快感を感じてしまったこと。それがきっと大きい気がする。
わたしが、ここまで性に悩みを考える原因には、それとやっぱり向き合う必要があると思う。

わたしは、これまで自分はいとこに身体を触られたことに対して性のトラウマがあると考えてきた。だから、自分は「女」であることが怖いんだと思ってきた。
けれど、ちょっと前、ふとしたきっかけで処女を脱出し、気付いた。わたしは、いとこに身体を触られたことではなく、いとこに身体を触られて性的な快感を抱いたことに罪悪感を抱いているんだと。抑圧してきた性を突然、こじ開けられ、自分の醜さを感じたからわたしはこんなにも自分の女がいやなんだと。
女として価値がないとずっと扱われてきたのに、女としての便利さを感じたことは無かったのに。突然、女としてのデメリットを強く感じさせられる体験をさせられてしまった。だからこそ女であることにメリットを感じず、女であることが憎くて苦しいんだって。

でも、今24歳。
わたしは、そろそろ認めないといけない。
自分は異性に何かされて何も感じないような綺麗な人間でないこと。異性が怖いといいながらも、ほんとうは異性に優しくされたとき、異性に触れられたいときもあるということ。それは、わたしが汚いのではなく、女として普通であること。自分のトラウマと真剣に向き合ってみると、自分の心の本当の闇が見えてきた。
わたしは、ほんとうは、女として見られるのが嫌なのではない。告白してくれた男の子が嫌なのではない。本当は、女という自分を認めて幸せになりたいのだ。

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わたしは、トラウマを乗り越えるため、心の中にいる中学生の頃の、いまだあの体験に傷つき悲しむ自分に話しかける。

あの体験が辛かったのはわかるよ。だけど、あなたは、このままじゃ、一生女であることに葛藤を抱えてしまうよ?しあわせな恋愛をせず、1人で寂しく生きてくの?

自分は、綺麗じゃない。普通に性的快感を抱く生き物であること自分は、動物的な生き物であること。だけど、それは、普通なことだってこと。
自分で自分に言葉を紡ぐ。苦しくていまだもがいている心の中にいる中学生の頃の自分に言葉をかける。
自分の心の闇と向き合ってみる。すると、心の中の中学生のわたしは苦しそうな表情をやめ、少し、明るい表情になった。

もう少し時間はかかりそうだけど、わたしは今日ちゃんと自分のトラウマと向き合った。これからは、男への無駄な恐怖感をなくし、男の人を信じられる気がした。
これから、わたしに告白してくれた職場の男の子と、もしかしたらしあわせな恋愛ができるかもしれないと思った。