2022年の春、ギリギリ滑り込みセーフで大学生になった。どれくらいギリギリかというと、3月28日。超年度末。
合格が決まったのは、時刻でいうと午前9時05分。今年のことだからまだアプリの履歴に残っている。着信履歴に謎の電話番号があり、一体どこだと検索をかける。どうやら地方の固定電話からだぞ?
家族に相談し、もしかしたら大学じゃないかな?と折り返し電話をかけてみれば、なんと繰り上がり合格!両親はめちゃくちゃ喜んでた。
人生って本当何があるかわかったもんじゃないんだな、と実感した。

ドタバタあわただしく引っ越しの準備やら、友達や先生に報告やらで忙しく過ごしているうちに、学校が始まる。情緒も夢もあったもんじゃなく、ただ忙しい日々。
友達が合格決まった時は、もっとあれやりたい!これしたい!っていう野望を聞いてたはずなのに、自分ときたらあれがない!これ買わなきゃ!で、てんてこまい。合格して嬉しいのに、こう、もうちょっと余裕がほしかったなーって、これ誰に文句言えばいいんだろう?昔の自分かなあ。うーん、思わぬ弊害。勉強が他の人より足りない分、「余裕」で賄われたのかもしれない。

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ようやく人心地がついたのは11月だった。先月。新1年生はどれにも「初めて」がくっつき、そわそわが取れなかった。
4月5月は教科書購入や課題提出、一人暮らしに必要な日用品を買ったりとカレンダーが真っ黒。メモ帳がダイエットに成功して、スレンダーボディを獲得してた。6月7月は中間と期末が間をおかずにダイレクトアタック。柴犬の熱烈歓迎レベル。こっちの歓迎度は違うけどね。テストはシッシッて気持ち。
夏休みは一人暮らしに慣れずにお家へ帰ったから、ノーカン。家事をしないがために入り浸り、ごろごろ自堕落三昧を送った。親のすねはかじれる時にかじっとけ、っていうのが私の持論。

ギリギリまで実家の愛あるぬるま湯に浸かって、9月末にアパートに戻ると、10月は実家暮らしと一人暮らしの落差でダウンした。ご飯も掃除も洗濯も、やってもらうのが一番、言い方を変えると親にマジ感謝。思わず「いつもありがとう」ってメールを送った(また実家帰った時はよろしくね、っていう下心付き)。
11月になってようやく調子が戻って来て、その頃には課題とも上手く付き合えている。これが恋人だったら最高だったけど、現実はそう上手く行かないもんだ。これは受験で実証済みの、もう先行研究ございます、ってやつだった。上手く行ってたらすわ浪人か、なんてあたふたしなかったのです(どれ程ホッとしたかって、受験ノータッチだったおばあちゃんから、かつての小学校の先生レベルにまで連絡する程なのよ)。
そんなこんなで、「いやあ、大学生活って高校生活と全然違うじゃーん」と幸せ笑顔で日付を見れば、1年もラストスパート。

うっそ。

笑顔固まるよね。
忙しいって、「心を亡くす」って書くし、漢字ってよく状況を表してる!
あまりにも一瞬で過ぎ去るから、スマホの写真欄が薄すぎて涙が出ちゃいそうなわけ。精神的に余裕がないと写真を撮ろうとか思わないからね……。もはや本当にこの1年生きてた?呼吸してただけじゃなくって?と脳内記者会見。追及の嵐で大スクープ。
近くに残っていたのは2学期の時間割を写メったやつだった。こんなところまで、ガリ勉風キめなくてもいいのに……。これはインタビューしてる方も呆れちゃう。なんだなんだ、随分かわいそうなやつじゃないか、人生もっと楽しんだって罰はあたらないんだぞ、って。

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これは改善のしがいがあるぜ……!と腕によりをかけ、最高な来年の目標をひねり出すしかない。無駄な宝ものでスマホの容量を圧迫しちゃえっ!来年は1000枚以上の写真で埋め尽くしてやるのね、加工マシマシで誰コレレベルの自撮りとか、謎の流行語を叫びながら撮った写真とか。どうでもよすぎて笑い転げる写真も撮ろう。
高校時代の友達と集まって、コロナで足が遠のいてたカフェやショップにも行く。それで、これかわいー、あれエモいーって騒いで、なんで撮ったのかわかんない謎の写真とかお気に入り保存する。最高に無駄っぽくて、でも最高に人生の過ごし方、キまってない?

小学校の先生が「大学生っていうのは人生の夏休みみたいなもんだよ」って言ってた。その言葉を借りるなら、大学生っていうのは遊ぶ時間なの。お金もなくて、大人と比べるとできることも少ないけど、バカみたいにはしゃぎ倒すことのできる、かっちょいい言葉を使えば「モラトリアム期間」。

夏休みにすることって言ったら、遊び倒す一択!夏休みの宿題はいわば就活なんだろうけど、そもそも就活は大学3、4年生。夏休みの宿題って最後にやるのが醍醐味っていうタイプ、私は。デザートや好きなものも最後に食べるタイプだよ。
夏休み終わったあとで残っているのは思い出ばっかり。どうせなら謎にデコりまくった思い出を作ろうじゃん!