気づけばあっという間に27歳を迎えてしまった。7年前の成人式が、ついこの前のことのようだ。
大人になったあの日、私はある目標を立てた。「若さだけが取り柄の女にならないこと」「好きなものは好きと、嫌いなものは嫌いと言える人になること」という2つだ。
この目標はすぐにクリアできるものではないため、長い期間をかけ、本当の意味で「大人」になった時に達成できていたらいいな、という思いで立てた。
それが自分が生きる理由の1つになるようにとの願いも込めて。

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20代前半はただただ周りについて行くのに必死で、自分を見失いがちになっていた。頼み事をされれば断れず、好きなことや嫌いなものについて問われれば、当たり障りのない回答をしていた。
そこに「自分らしさ」というものは全く無かったが、「はみ出し者」になるくらいなら、周りに合わせた方が楽かもしれない、という逃げに走っていたのだ。
個性が無いまま20代半ばに突入する。以前よりも少しだけ自分の意見を発することができるようになった。それは、自分の良さを分かってくれる人が周りにいるという安心感が生まれたからだ。

それでも、「この人たちにすら嫌われたらどうしよう」という恐れから、まだ本当の自分を公にはできずにいた。そして自分ですら、本当に好きなことと嫌いなことを分かっていなかった。周りに合わせることに慣れてしまった代償は、想像以上に大きかったのだ。

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しかし、ここであることがきっかけで、自分の気持ちに正直になることができるようになった。ずっと勤務していた職場を退職することになったのだ。
正直言って、私は団体行動が苦手だ。接客業も嫌いに近い。それに気づくことが出来たのは、20代半ば辺りの頃。
勤務先でニコニコしながらお客の対応をし、顔色を窺い、お客とスタッフの間で苦悩していた。こんなことを言ってしまっては申し訳ないが、「アットホームな雰囲気」も自分的には結構キツい。一線を超えた仲の良さは、勤務中も休日もずっと一緒というストレスを生むのだ。しかし、みんな良い人だから、良い職場だから、という理由で自分より周りを優先していた。
退職理由はさまざまだが、新しい環境で頑張りたいという思いから、この職を辞めるに至った。それが人生の転機。自分が今まで気づけなかった自分の良さを再発見することになったのだ。

まず第一に、接客業から離れること。これが今の広告代理店での事務職に繋がっている。そこでスキルを身につけ、どこの事務でもある程度対応できるまでには成長できた。
2つ目として、予定は自分最優先。付き合いだからという理由で、行きたくない場所には赴かなくなった。そこで気をつかうだけで更にストレス。行かないに越したことはない。
そして3つ目は、「大して誰も私に興味なんてない」と思うこと。そうすることで失敗を恐れず、好き嫌いをはっきり伝えられるようになった。

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このような行動をしていく中で、「案外私できる奴じゃん」なんてことを思ったりもした。
思い込みと行動はとても大切。個性を持つことで若さに頼らずにこれからも生きていける。自分の思いを伝えられることで、自分の存在を発信できる。
本当の意味での「大人」になるための正解なんてあるんだろうか?という疑問は残ったままだが、初心を忘れずに更に成長していきたいものだ。